100円ショップで売られているPCやスマホのアクセサリー 安全性はどうなのか

ITメディア

PCやスマートフォンのアクセサリーを入手するにあたって、いまや無視できない存在になりつつあるのが、100円ショップで販売されている製品だ。家電量販店やネットショップではなく、まずは目的の品が100円ショップで手に入らないか、チェックするのが習慣になっている人も多いのではないだろうか。

もっとも100円ショップの製品は、その安さから、品質面や安全性について、疑問の目が向けられることもよくある。特に電源タップやイヤフォンなど通電系のアイテムは、売場で製造不良による回収のお知らせを目にすることもある。「100円ショップで売ってるPCやスマホの小物って買っても大丈夫なの?」と、疑問を抱いたり、家族や友人から聞かれたりしたことはないだろうか。

しかし高級感の有無といった品質面はともかくとして、安全性については、専業メーカーの製品と比べても遜色ないか、むしろ見方によってはそれ以上といえる。その理由をみていくことにしよう。

100円ショップの製品はなぜ安全性が高いといえるのか

「100円ショップの製品は安全性が高い」といえる最大の理由は、出荷ボリュームの多さだ。100円ショップは全国津々浦々に多数の店舗があるため、ひとたび定番商品に入ってしまえば、家電量販店が束になってもかなわない数量が出荷される。ちなみに家電量販店は多いところでも数百店舗にとどまるのに対して、100円ショップは多いところでは3000店舗を超えている。

店舗数が多く出荷ボリュームが多いぶん、実際に製品を使うユーザーもそれだけ多いので、不良が発覚すれば、すぐに白日のもとにさらされる。それがロット単位の不良であることが分かれば、すぐに店頭から撤去されるので、店頭で不良品を引く率は、結果的に低くなる。要するに「数が出ている分だけチェックが働きやすくなる」という理屈である。

これに加えて、客層の違いによる、不良品に向けられる目の厳しさも、無視できない要因だ。例えばPCにある程度詳しいユーザーであれば、専業メーカーのアイテムで不良品の疑いがある場合、原因を推察し、自力で解決することを考える他、仮に手に負えなかったとしても、冷静に良品との交換か、もしくは返品かを要求してくる。キレる人はゼロではないが、かなり少ない。全体的に寛容だ。

PC周辺機器・アクセサリーの専業メーカーは、こうした寛容なユーザーに慣れているため、ある意味で感覚がまひしてしまっているといえる。それ故、メーカーによっては、本来ならばきちんと告知をして回収しなくてはいけない品でも、何週間も対応を放置したり、後継製品への切り替えによって製品を終息させてうやむやにしたりすることもある。

ところが、これが100円ショップを利用する一般ユーザーだとそうはいかない。多くは自力でどうにかするという発想がまずなく、中にはクレーマーまがいのいちゃもんをつけてくる人もいる。また家電量販店と違ってメーカー色が薄く(実際に100円ショップの自社ブランドとして販売されている製品も多い)、製品そのものの評価が、店の評判にダイレクトに結び付きがちだ。

これに加えて100円ショップは前述のように出荷ボリュームが多いため、手をこまねいていると、同様のトラブルが全国で同時多発的に起こる可能性がある。しかもそれが電源タップのように、火災など人命に関わる危険があれば、すぐに手を打たなければ、企業として存亡の危機に立たされる。

こうしたことから(特に通電系の製品については)ロット不良が発覚したときの出荷停止や回収といった対応は迅速だ。冒頭にも挙げた、製品回収を知らせる店頭の貼り紙はまさにその証といえる。「貼り紙があるから危険」ではない。その逆だ。

なので正確にいうと、不良率そのものが低い故に安全なのではない。ユーザーが多く、かつ品質に対して厳しい目を持っているユーザーが多い故に不良が発覚しやすく、またそうした事態における対応が迅速なことから、まだ誰も引き当てていない不良品を自分が引き当ててしまう確率が低いという話だ。

言い換えれば、100円ショップで発売されたての新製品に関しては、不良率はある程度高くても不思議ではない。不良品を出さないためのノウハウは、これまで数々の品を手掛けてきた専業メーカーの方が高いのが当然で、市場に投入したての状態で比較すれば、また違った結果が出るだろう。しかし発売から日数がたてばたつほど、ここまで見てきたような傾向が顕著になってくるというわけだ。

安全性は重視しつつも品質には無頓着?

ただし100円ショップは、こうした安全性が担保されている一方、品質に関しては無頓着だ。安価な素材を使ったり、工作のプロセスを省いたりと、あの手この手で原価を下げようとすることで、チープさが漂う品質になっていく。もちろん品質が高いのに越したことはないが、原価を下げるというミッションの前には、優先順位は著しく低くなる。

特にPC関連のアクセサリーによくあるのが、過去に大量に出荷された専業メーカーの製品の金型を買い取り、それを使って追加生産した品だ。これらは摩耗した金型を使うのでパーツのかみ合わせが悪かったり、本来は梨地であるはずの表面がツルツルだったりと、難があることが多い。

しかし、いかんせん過去に大量に出荷されており、支障なく動くことだけは保証されている。しかもタダ同然で放出された金型を使うので安く仕上げられる。「安全性を担保しつつ安く売る」には最適というわけだ。

もうひとつ、最近増えているのは、専業メーカーの製品をまねて作られた製品だ。専業メーカーが販売している製品を入手、分析し、徹底的にコストダウンを行った上で作られることから、形状や機能はそっくりながら、とにかく安価なことが特徴だ。もちろんパクリにはならないよう、意匠的な問題には配慮されている。

これらはオリジナルと見比べればチープさは一目瞭然なのだが、いかんせん同じ売場で横に並ぶことはないため、ユーザーからすると「欲しかったアレが100円で売られている」ということになり、爆発的に売れる。また売れ筋製品だけをターゲットにして作られるので、専業メーカーのラインアップのように売場を占有していながらまるで回転しない製品もほぼなく、売る側にとっても効率的だ。

もっとも最近は、見るからにチープな製品は影を潜めつつある。その一方で、例えばスマホ用のガラスフィルムであれば、割れたときにガラスの破片が飛び散りやすいなど、使い終わる段階になって初めて、上位の製品との差が分かるものもある。割れることがなければ全く問題なく使えてしまうため、普通は気が付かないというわけだ。

また最近は、多くの100円ショップが、100円という価格にこだわらず、200円や300円、500円といった高価格帯のラインアップを展開しており、100円では難しい製品であっても、販売できる土壌が整っている。こうした背景もあって、かつて品質が低いといわれた100円ショップの製品は、クオリティーが底上げされつつあるのが現状だ。

品質の高い製品を見つけるためには?

こうした、見た目はマトモだが落とし穴がどこかにある製品を避けるためには、専業メーカーの製品を買えばいい──といいたいところだが、事情はそう簡単ではない。専業メーカーの製品であっても、実売価格は100円ショップよりケタ違いに高価だが、原価ベースでは100円ショップの製品と大して変わらないこともある。

専業メーカーの製品で、本当の意味で品質の高い品を見つけたければ、パッケージが高級であることに着目するのも手だ。というのも一般的に、製品のパッケージにかけるコストは製品そのものにかける開発コストと比例しているからだ。

最近は環境配慮などの理由で、高品質な製品でもパッケージを簡素化するものもみられるが、基本的には高品質な製品ほどパッケージにもこだわっている。逆に、パッケージにだけコストをかけて製品は手を抜くことはまずなく、よって「パッケージの出来がよい製品は、製品そのものも相応の開発コストをかけて作られている」という図式が成り立つ。

あらゆる部分でコストダウンを行っている100円ショップの製品では残念ながらこの見分け方は通用しないが、専業メーカーの製品であれば通用するので(もちろん開発コストがかかっているだけの残念な製品もなくはない)、パッケージが手に取れる家電量販店などに足を運んだときは、ぜひチェックしてみてほしい。

著者:牧ノブユキ(Nobuyuki Maki)

IT機器メーカー、販売店勤務を経てコンサルへ。Googleトレンドを眺めていると1日が終わるのがもっぱらの悩み。無類のチョコミント好き。HPはこちら

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