よみがえるマエストロ 朝比奈隆の世界

神が降臨した、ブルックナーの教会演奏 フロリアンの鐘は「朝比奈ブレーク」の祝砲か

朝比奈隆の十八番はベートーヴェンとブルックナー。ベートーヴェンの交響曲は「1番から9番まで全部やる」が信条。全集録音は7回で世界最多といわれた。「第九」は大フィル(関響時代含む)だけで生涯247回、ベートーヴェン作品の演奏回数は2000回を超える。

FM大阪の音楽プロデューサー、吉川智明さんは「最近の指揮者は何で彼の交響曲を全部振らないのか。本人は耳が悪くて聞いたことがないのに、音楽は幸福に満ちていて、後世の人間に200年間感動を与えてくれていると何度も仰っていました」と振り返る。

元局アナで朝比奈特番を何度も手掛け、公私で交流があった。朝比奈にとってベートーヴェンはバイブルのようなもので演奏に満足することはなかったのだろう。

200回以上演奏したブルックナーは、1951年の定演の「テ・デウム」が初。飛躍のきっかけは74年の東京定演の交響曲「第8番」の成功だ。翌75年10月、大フィル初の欧州公演では神がかった出来事が。

ブルックナーが少年時代を過ごし、オルガン奏者となり、地下に埋葬されたオーストリア・リンツの聖フロリアン修道院での「第7番」公演。教会の豊麗な残響を生かした遅めのテンポで演奏が進み、第2楽章が終わると、なんと教会の鐘が数回鳴り響き、朝比奈はそれが終わるのを待って第3楽章を演奏した。その感銘は音盤のライナーに自ら、また帯同した写真家、木之下晃さんの著書『朝比奈隆長生きこそ、最高の芸術』にもある。

吉川さんは「欧州のオファーはマーラー第6番だったが、楽器が多すぎたため、ブルックナー第7番に落ち着いたそうです。もしマーラーだったら、後の『朝比奈・ブルックナー』の爆発はなかったのでは」という。

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