米中、ASEAN取り込み図る 加盟国、対立激化に警戒感

産経ニュース
26日、米ホワイトハウスでASEANとの首脳会議に出席するバイデン大統領(左)(共同)
26日、米ホワイトハウスでASEANとの首脳会議に出席するバイデン大統領(左)(共同)

【シンガポール=森浩】26日に開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の関連会合は、米中がASEANの取り込みを図る場となった。米国が総額約1億ドル(約113億円)の支援を表明すれば、中国も「ASEANは近隣外交の優先事項」と訴えた。ASEAN内に米中対立激化への警戒感が漂う一方、米中による綱引きは激しさを増しそうだ。

「ASEANはインド太平洋の地域構造にとって不可欠な存在だ」。バイデン米大統領は26日の米国とASEANのオンライン首脳会議で、ASEANの重要性を強調した。バイデン氏は新型コロナウイルスや気候変動などへの対策のため支援を発表。トランプ前政権が「軽視している」と批判を浴びた東南アジアで存在感回復を目指した。

同日には中国とASEANの首脳会議も行われた。中国の李克強首相は今年が中国とASEANの「対話関係樹立30周年」に当たると述べ、長年にわたる連携を強調。協力関係の「次のステージ」として、公衆衛生や経済などの分野でのさらなる協調を提案した。

また、李氏は中国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟を申請したことにも「支援を期待している」と呼び掛けた。

ASEANとしては、基本的にバイデン米政権の「アジア回帰」を歓迎している。東南アジアで中国の経済的・軍事的影響力が過度に拡大することへの警戒感があり、牽制(けんせい)効果を期待している。

同時に、米中対立の激化を懸念し、「米国につくか中国につくか」の選択となることは避けたい考えもある。中国を念頭に米英豪が立ち上げた安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」について、インドネシアのジョコ大統領は27日の関連会議で「地域の対立に火をつける可能性がある」と懸念を表明した。

米国は今夏、オースティン国防長官とハリス副大統領をベトナムとシンガポールに相次いで派遣するなど個別の国と関係を強化する動きにも出ている。中国も「ワクチン外交」などを通じて各国と連携強化を模索している。東南アジアは米中対立の最前線であるだけに、加盟国が今後、「米国か中国か」の踏み絵を迫られる場面は出てきそうだ。

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