日大事件、難解な「背任罪」 立件のポイントは3つ

産経ニュース
東京地検が入る中央合同庁舎第6号館(大西史朗撮影)
東京地検が入る中央合同庁舎第6号館(大西史朗撮影)

東京地検特捜部は元日本大学理事の井ノ口忠男容疑者らに対し、背任容疑での再逮捕に踏み切った。背任罪は難解で、捜査のプロでも「背任事件の捜査ができて初めて検事は1人前」(検察幹部)といわれるほどだ。板橋病院の建て替え工事と、医療機器という2つの異なる契約をめぐり背任容疑での立件に至ったポイントはどこにあるのか。

背任罪は、①自分や第三者の利益のために②任務に背いて③財産上の損害を与えた-場合に成立する。

特捜部は、建て替え工事をめぐる事件で日大が設計業者の選定業務を「日本大学事業部」に委託したことを任務とし、取締役だった井ノ口容疑者がその任務に背いた(②)と認定した。

その上で、井ノ口容疑者らが自らの利益を図るために(①)、選定時の評価点を改竄(かいざん)するなどして受注させた都内の設計会社に対し、日大からの着手金のうち2億2千万円を籔本雅巳容疑者が保有するコンサルタント会社に送金をするよう指示。コンサル会社は選定に関与しておらず、報酬を支払う必要がなく、送金分の2億2千万円を財産上の損害とした(③)。

籔本容疑者は日大や日大事業部の部外者で直接の任務はないが、井ノ口容疑者と一体になって行動した「身分なき共犯」として起訴に漕ぎ着けた。

また、検察側は、再逮捕容疑となった医療機器をめぐる契約でも同様の構図を描いた。

日大は医療機器の契約の交渉業務を日大事業部に委託したが、取締役だった井ノ口容疑者が日大に不要な債務を負わせないなどの任務に背いた(②)と指摘。

板橋病院では今春以降、医療機器計7台と電子カルテのシステムがリース契約で導入された。井ノ口容疑者らは自らの利益を図る目的で(①)、調達段階で不要な籔本容疑者のコンサルタント会社を介在させ、見積書を水増し。日大が将来的に支払うリース料金が過大となり、計2億円分の不要な債務を負わせたことが損害にあたる(③)とした。検察幹部は「支払いが発生していなくても、金額が過大な契約を締結させた時点で背任事件を構成することもできる」としている。

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