三重県名張市で昭和36年、女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、奥西勝元死刑囚=収監先で病死=の弁護団は27日、「瓶とふたをつなぐ封緘紙(ふうかんし)から、市販ののり成分を検出した」とする鑑定結果を補強する専門家の意見書などを新証拠として名古屋高裁に提出したと発表した。
弁護団は、意見書が「真犯人が瓶に毒を混入した後、封緘紙を貼り直した」との主張を裏付けるものとしている。
弁護団は昨年10月、鑑定結果を提出。高裁が今年7月、弁護団に鑑定結果に関する説明を求めたため、弁護団は繊維学などを専門とする大学教授に意見書作成を依頼した。
意見書によると、実験で、市販ののりを塗った紙の成分を測定した結果と、問題の封緘紙の鑑定結果が一致。「封緘紙に市販ののりが塗られたことに整合している」と結論付けた。