骨組み再利用やCO2排出量「見える化」推進 不動産・建設業界 脱炭素化へかじ

産経ニュース
三井不動産などがリファイニング建築で再生中の9階建てマンション=東京都新宿区
三井不動産などがリファイニング建築で再生中の9階建てマンション=東京都新宿区

政府が掲げる2050(令和32)年の温室効果ガス排出量「実質ゼロ」実現に向け、二酸化炭素(CO2)削減が難しいとされてきた不動産・建設業界も脱炭素化へかじを切り始めた。企業評価の向上に環境問題への積極的な取り組みが必須となってきたためだ。工事で企画を担う不動産など開発側は、骨組みを再利用する建築手法や排出量の見える化を推進。これに応じる形で受注側の建設会社は環境配慮型コンクリートの高度化などを急ぐ。

東京都新宿区にある地上9階建てマンションの工事現場。築50年ほどの物件で、解体作業とともに、建築構造を支える骨組み「軀体(くたい)」を再利用するための補強も進む。古い建物を壊さずに改修で再生する賃貸マンションは来春完成予定だ。

既存軀体を再利用する手法は「リファイニング建築」と呼ばれ、現行法で定められた耐震性能を満たすレベルまで補強されれば、建物を長寿命化できるなどメリットが多い。全て残さず解体する「建て替え」と比べ、工事期間を大幅に短縮できることもあり、近年注目されている。

特に魅力的なのは、建築時に排出されるCO2を大幅に削減できることだ。軀体の再利用で資材となる鉄やセメントの製造が抑えられる。新宿の物件を手掛ける三井不動産と、設計事務所の青木茂建築工房(福岡市中央区)の研究によれば、軀体の約84%を再利用することで、既存の物件を同規模に建て替える場合に比べ、CO2排出量を72%削減できる見込み。同工房の青木茂社長は「CO2排出権の売買制度が進んでいない日本で、排出ゼロを目指す事業者にとって魅力的な手法だ」と話す。

建築手法だけでなく、実際の建設工事で排出されるCO2量にも厳しい目が向けられるようになっている。これに伴い、開発側が発注先に対し排出量の開示を要請する動きも出始めた。不動産協会の担当者は「環境問題に対して行動を起こせば企業評価につながる。建築時のCO2排出量の『見える化』を取り入れる企業は増えるのでは」と先行きをにらむ。

こうした動きを受け、受注側の建設大手・鹿島は、資材の製造や輸送などで排出されるCO2量を関係者間で共有できるシステムの実用化に着手。このほか、国の「グリーン成長戦略」で販路拡大の方針が掲げられた、CO2を吸収しながら固まる性質を持つ特殊な材料を使うコンクリート「CO2―SUICOM(シーオーツースイコム)」を進化させる研究も始めた。

この研究では、コンクリートの構造に欠かせない砂の含有量を減らす。代わりに、コンクリート製造工場から排出される高濃度CO2などを固体化させた粉末「エコタンカル」を混ぜ入れる。鹿島の担当者は「スイコム1立方メートルの製造にエコタンカルを100キロ使えば、理論上では従来品よりも大気中のCO2を44キロ多くコンクリート内に固定できることになる」と期待する。

特殊材料の代替で製造時にCO2を排出するセメントを低減するだけでなく、新たな粉末の使用で一層排出量削減に貢献することから、実用化次第、道路境界部や太陽光発電設備の基礎ブロックなど幅広い用途で活用していく方針だ。(鬼丸明士)

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