ひざの痛みに潜む怖い病

膝や肩の痛み以外に関節に異常あれば関節リウマチ疑え 早期診断・早期治療が奏功

東邦大学医療センター大森病院整形外科の中村卓司医師
東邦大学医療センター大森病院整形外科の中村卓司医師

 近年、膝(ひざ)痛を訴える60代以降の男性で関節リウマチと診断される患者が増えていることを前回紹介した。理由はよくわかっていないため、誰にでも起こりえる。一方、加齢に伴い変形性膝関節症と診断される機会も増える。中には、変形性膝関節症で手術が必要といわれたが、後に関節リウマチと診断されて手術が回避できた人もいる。

 「関節リウマチは関節の滑膜(かつまく=関節軟骨の周辺に付着する膜)に炎症が起こり、進行すると関節の変形が進みます。しかし、関節リウマチの治療薬を投与すると、関節の炎症や破壊が止まることで痛みなどの症状は治まり、手術しなくても済むケースもあるのです」

 こう話すのは、東邦大学医療センター大森病院人工関節治療センターの中村卓司センター長。変形性膝関節症の患者はもとより、関節リウマチの患者も数多く診断・治療を手掛けている。

 「働き盛りで発症する関節リウマチは、手の指など小さな関節から症状が出るのが一般的です。しかし、60代以降で発症する関節リウマチは、膝や肩など大きな関節で炎症を起こすことが多い。そのため、変形性膝関節症や五十肩などと間違われやすいのです」

 比較的若い人に発症する関節リウマチは、朝起きたときに手足の指の関節が腫れて、こわばるのが典型的な症状である。ところが、60代以降に発症しやすい関節リウマチでは、膝や肩などに痛みの症状が出やすい。そのため「年のせい」と思われがちなのだ。

 「患者さんの話をよく聞いて、触診で手足を触ってみると、膝や肩以外の関節にも腫れなどの症状が見られることがあります。膝や肩の痛み以外に、関節の異常が見られるときには、関節リウマチを疑う必要があります」

 関節リウマチの治療は近年飛躍的に進歩している。かつて関節リウマチの治療は、ステロイド剤や消炎鎮痛薬といった薬しかなかった。だが、今世紀に入り、生物学的製剤やJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬の登場で、症状を改善できる人が増えた。治療で長い期間、全く症状が出ないことも珍しくはなくなった。

 「関節リウマチは、関節が破壊されますので、早期診断・早期治療が功を奏します。ただし、ご高齢になると身体状態によっては、薬の使用量を加減しなければならいこともあります。オーダーメード医療(個々人に合った医療)が、より求められるともいえます」

 高齢化に伴い腎機能の低下や心臓病を抱えると、薬のさじ加減が不可欠となる。最近は、腎臓に負担の少ない自己注射による生物学的製剤も登場し、治療の選択肢が広がった。

 「身体状態や病気の進行度合いによって、治療計画は立てることができます。ぜひ早期発見・早期治療を心掛けていただきたいと思います」

 中村医師による「関節リウマチ疑い」のチェックポイント(別項)もぜひ参考に。 (取材・安達純子)

 ■関節リウマチの疑いをチェックしよう!

 □変形性膝関節症の治療を受けているが、症状が一向によくならない

 □運動療法は痛みで続けられない

 □朝目覚めたときに身体がこわばって、動かしづらい

 □左右の手首や足首などの関節が腫れている

 □全身がだるくて力が入らない

 ■中村卓司(なかむら・たかし) 東邦大学医療センター大森病院人工関節治療センターセンター長、整形外科准教授。1993年東邦大学医学部卒。米国留学などを経て、2012年から現職。関節疾患の診断・治療を得意とし、日本関節病学会評議員、日本人工関節学会評議員、日本リウマチ外科学会理事などを兼任している。

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