エネ政策、見切り発車 原発位置づけ不明瞭

産経ニュース

政府が22日にエネルギー基本計画を閣議決定したことで、日本のエネルギー政策は、再生可能エネルギーの比率を大幅に引き上げる方向へかじを切った。一方、原子力発電に関しては新増設やリプレース(建て替え)に関する記載が今回も見送られた。日本は令和12(2030)年度の温室効果ガス削減目標を26%から46%へ大きく引き上げたが、風力や太陽光発電を増設する余地は限られている。削減目標達成へ再エネを補完する原子力政策の未来像を示さぬまま見切り発車したエネルギー政策は、次期改定まで数年間維持される。

「制約も多く実現は簡単ではないが、産業界や国民、政府を含め、最大限、課題に応え、努力するという意味だ」

政府関係者は今回の基本計画の意義をこう強調するが、拙速の感は否めない。

まず、31日に英国で開幕する「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」前に閣議決定する必要があった。また、衆院選が重なったことから、持ち回り閣議で決定となった。重要政策であるエネルギー基本計画が持ち回りで決定されたのは、政府関係者によると「恐らく初めて」という。

今回の基本計画では原発に関し、安全性確保を前提に「必要な規模を持続的に活用」という表現に落ち着いた。長期的に依存度は下げながら、再エネの調整用電源などとして「重要」との表現は維持したが、位置づけは不明瞭なままだ。

再稼働が進まず令和元年度の原発の電源構成比率は約6%にとどまった。審査中の原発も多く、仮に再稼働が進んでも経年対策などで今回掲げた20~22%の実現は困難を極める。

エネルギーバランスや二酸化炭素(CO2)削減効果を考えた場合、今回の改定は基幹電源としての原発の積極活用を打ち出す絶好のチャンスだった。しかし、産業界などからの期待も高く、技術革新を取り込むことで安全性向上にもつながる、原発の新増設や建て替えの必要性には、踏み込まなかった。

今回の基本計画の改定議論の中では、発電コストに関し、「業務用太陽光のコストが原発よりも安い」といった試算も示された。だが、送電網の整備など統合的なコストになると必ずしも太陽光が最安ではないとの試算も出され、政府関係者は「分かりにくい部分もあった」と認めた上で、「今回の電源構成には直接は(コストの要素は)使っていない」と説明する。

再び厳冬になるとの予測もあるなか、足元では液化天然ガス(LNG)や原油の国際価格上昇など、安定的な電力供給への懸念が広がっている。温室効果ガス削減効果の高い再エネの活用は中長期的視野に立てば重要だが、仮に大幅なコスト増となれば国民負担増だけでなく、国内の産業競争力の低下にもつながりかねない。原子力政策の議論を棚上げにしたエネルギー政策は、大きな禍根を残すリスクをはらんでいる。(那須慎一)

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