侮辱罪厳罰化でネット中傷抑止期待 名誉毀損との適用の違いは…

産経ニュース

侮辱罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案の要綱が21日、古川禎久法相に答申された。要綱に基づき刑法が改正されれば、社会問題化するインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷抑止に一定の効果が期待される。名誉に対する罪には法定刑が重い名誉毀損(きそん)罪もあるが、侮辱罪の罰則強化で何が変わるのか。

「死ねやくそが」「きもい」。警視庁は今年4月、こうした投稿をプロレスラーだった木村花さん=当時(22)=の会員制交流サイト(SNS)に書き込んだとして、30代の男性を侮辱容疑で書類送検した。その後、男性は略式起訴され科料9千円を納付したが、花さんはすでに自殺しており、「刑が軽すぎる」との意見が相次いだ。

花さんをめぐる事件で警視庁は当初、「名誉毀損罪」の適用も検討したという。侮辱罪の現行の法定刑は、「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」。名誉毀損罪は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」で、侮辱罪よりも格段に重い法定刑が定められているからだ。

ただ、結果的には侮辱容疑での立件となった。「死ね」「きもい」など、発信者の主観による抽象的な文言には、名誉毀損罪は適用されないからだ。

ネット上の中傷問題に詳しい藤吉修崇(のぶたか)弁護士は「名誉毀損罪が適用される中傷は、客観的に事実かどうか判断可能な、具体的な内容に限られる」と解説する。

例えば、氏名を名指しした上で「新人にセクハラをしている」との中傷は名誉毀損罪にあたる。一方、「あの人は目線がいやらしくて気持ち悪い」のような主観による発信は、客観的に事実かどうかの判断は難しく、侮辱罪しか適用できないことになる。ネット上の誹謗中傷は微妙なケースも多く、確実な立件のため侮辱罪を適用する傾向も一部で見受けられるという。

藤吉弁護士は、刑法が改正されれば侮辱罪の公訴時効が名誉毀損罪と同じ3年に延びることを念頭に、「個人の主観による誹謗中傷でも、花さんのように追い詰められるケースはある。ネット上の誹謗中傷は発信者の特定に時間がかかることが多いことを考えても、侮辱罪の厳罰化は必要だ」と話した。

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