議員刺殺で悩む英議会 対話の伝統か安全か

産経ニュース
英国のデービッド・エイメス下院議員が刺された現場の教会近くの警察官ら=15日、英南東部リー・オン・シー(AP)
英国のデービッド・エイメス下院議員が刺された現場の教会近くの警察官ら=15日、英南東部リー・オン・シー(AP)

【ロンドン=板東和正】英国で下院議員が有権者との集会中に刺殺される事件があり、英政界では有権者との交流のあり方をめぐる議論が起きている。有権者との対面で要望を聞く機会を失ってはならないと訴える声がある一方、安全上の懸念から対面を中止する議員も目立つ。有権者との直接対話を重んじる「英政界の伝統」と安全確保の両立が課題となっている。

事件は15日昼に発生。与党・保守党のデービッド・エイメス下院議員(69)が地元選挙区の教会で有権者との対話集会を開催中、教会に入ってきたソマリア系英国人のアリ・ハービ・アリ容疑者(25)に刃物で刺された。英警察はテロと断定し、イスラム過激思想が絡むとみて同容疑者から事情を聴いている。

エイメス氏が行っていた集会は、医師が患者を問診するように有権者と対面し、要望に耳を傾けるという意味から「サージェリー(診療所)」と呼ばれている。有権者との直接対話を「民主主義の根幹」とする英政界で長年実践され、多くの下院議員が地元選挙区で定期的に開催している。エイメス氏も月2回程度開いていた。

事件後も集会を継続しようとする意見は根強い。地元選挙区の集会で女性に刺された経験を持つ野党・労働党のティムス下院議員は「(市民と対面する機会を失えば)加害者側の思うつぼだ」とし、今後も集会を中止しないと強調した。

しかし、議員を標的にした犯罪は後を絶たず、安全面に不安を抱く議員は少なくない。

英紙フィナンシャル・タイムズによれば、2016~20年には下院議員に対する脅迫などの犯罪が678件報告された。英紙テレグラフは、アリ容疑者がエイメス氏を無作為に標的にした可能性があると報じており、「多くの議員が事件の再発を恐れている」(保守党議員)。

英国では16年、労働党の下院議員が地元集会の会場近くで射殺される事件もあった。英政府はこれを機に安全対策の予算を増額し、下院議員は選挙区の事務所で警報機や防犯シャッターなどを政府負担で設置できるようになった。ただ、選挙区での活動中は原則として警察の厳重な警護を受けられない。

保守党のノークス下院議員は「(自身や事務所のスタッフを)保護する必要がある」として、有権者との対話を当面、オンラインか電話で行うことを決めた。

パテル内相は警察による選挙区での警備強化や議員の防刃ベスト着用といった対策を検討している。だが、集会に警官を配置すれば「有権者を萎縮させる」(ラーブ司法相)との懸念もあり、方針はまだ定まっていない。

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