するりベント酒

佐渡帰りの甲板で、やきそば弁当ビール付 青空と海がうまい

 船の手すりの上にのせて写真を撮ったが、いつ風に煽られて海に落っこちるんじゃないか、ヒヤヒヤしたぜ。

 看板にべたっと腰を下ろし、船の壁に背もたれて、ビールをグビリとやり、割り箸で焼きそばを食べた。

 うまい。これだ。ちょっとゴムっぽい麺も大好きだ。どうしてこういうのが好きになったのか。縁日、近所の小さな神社の秋祭りで、ガキの頃に刷り込まれてしまったのだろうか。

 この歳になっても、地方などでお祭りに出会うと、焼きそばだけは必ず買って食べる。子供の頃と変わったのは、そこにビールが必ずついてくるということだけだ。

 ゴム焼きそば、うまし。肉、ウインナーを切ったやつでした。OK。アイラヴユー、OK。ヤザワだ。よろしく。

 紅生姜が、あらためてありがたい。この焼きそばの花だ。紅一点、と言ってもいい。思わず、大切に少しずつ食べる。最後まで残していくからね。

 ビールがうまい。青空と海がうまい。この写真は、佐渡から帰りのフェリーだ。島がゆっくり遠ざかっていく。またくるよ、佐渡ヶ島。

 フェリーの客室は、毛布を借りてゴロ寝できるようになっている。他のメンバーの3人は、早々と寝て熟睡しているものもいる。

 俺も焼きそばを食べきり、もう一杯生ビールを飲んだら、そっちに降りてって、ゴロンするつもりだ。極上の昼寝が、あっという間に俺の意識を失わせるだろう。

 ■久住昌之(くすみ・まさゆき) 1958年7月15日、東京都生まれ。法政大学社会学部卒。81年、泉晴紀との“泉昌之“名でマンガ家デビュー。実弟の久住卓也とのユニット“Q.B.B.”の99年「中学生日記」で第45回文藝春秋漫画賞受賞。原作を手がけた「孤独のグルメ」(画・谷口ジロー)は松重豊主演で今年シーズン9(テレビ東京)。

zakzak