有本香の以読制毒

片山議員の人権侵害に対する質問に…驚いた岸田首相「中国」明言 いい意味で予想裏切った意義ある国会答弁

岸田首相は、片山議員の質問に、対中強硬姿勢を明確にした =13日、参院本会議場
岸田首相は、片山議員の質問に、対中強硬姿勢を明確にした =13日、参院本会議場

 きょう14日、岸田文雄首相が衆院解散を宣言する。「19日公示-31日投開票」に向けて、永田町はすでに選挙モード全開だ。

 そんな中での国会の代表質問は、議員の多くが上の空、メディアも熱心に報じているとは言い難い。もっとも、立憲民主党の質疑などは相変わらず「小姑の悪口」レベルでしかなく、国益や国民の命をいかに守るかの議論には程遠いものゆえ、報道価値が薄いことも否めない。

 ところが、13日、貴重なやり取りがあった。今国会の最後の質疑、質問者は自民党の片山さつき参院議員。筆者が注目したのは次の質問だった。

 「ウイグルやチベット、香港やミャンマーなどでの人権侵害、弾圧へのわが国の対応について総理にお伺いします」

 ここで片山議員は「ウイグルやチベット、香港やミャンマーなど」と言っている。この表現は、6月に閉会した通常国会に提出すらできなかった「対中非難決議」の表現にほぼ合っている。驚いたのはこれへの岸田首相の答弁だった。初っぱなから、いい意味で予想を裏切ってくれたのだ。

 「中国、ミャンマーなどでの人権侵害に対するお尋ねがありました」と、岸田首相はいきなり「中国」という国名を挙げた。

 国会議員が準備した「対中非難決議」声明文案が、対中非難と言いながら、「中国」という加害国名を省く「忖度(そんたく)の産物」だったことと比べると、首相の方が先を行っている。他の国では、中国に及び腰な政府のお尻をたたくため、議会の「声明」ではより強気な表現となる例が多いが、現時点でわが国では逆になっている。

 さらに、首相はこう続けた。

 「先般の日中首脳電話会談では、香港、新疆ウイグルといった懸案について、習近平国家主席に率直に提起をいたしました」

 8日の電話会談で、「香港や新疆の問題」が取り上げられたことはNHKをはじめとする報道でもぼんやりと伝えられていた。しかし、岸田首相自身が国会の本会議場で、「私の内閣では、人権をはじめとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、基本的人権がいかなる国においても保障されることが重要と考えます」と前置きしたうえで、習主席に「率直に提起した」と明言したことの意義は大きい。

 もちろん、これだけで岸田首相の対中姿勢を手放しに評価はできない。

 同じ電話会談に関する報道には、「日中国交正常化50周年である来年を契機に、建設的かつ安定的な関係をともに構築」とか、「両国間の経済や国民の交流を後押し」といった、旧来の「日中友好」用語も並んでいるからだ。

 岸田首相は、自民党総裁選前からの一連の仕掛けにより、「自民党親中派のドン」こと二階俊博氏を幹事長の座から降ろすことに成功した。この点では、筆者は岸田氏を高く評価するが、一方で不安も拭えない。これ実は、二階氏から主導権を奪っただけの「新たな日中友好」関係の始まりだったら目も当てられないからだ。

 いまから悪い予想ばかり言うのはやめておこう。岸田首相にはぜひとも、国会での自身の発言にふさわしい、堂々たる「人権外交」を行っていただくよう要望する。そして、新首相から貴重な答弁を引き出した片山議員には、敬意とともに「グッドジョブ」と申し上げたい。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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