主張

いじめ自殺10年 根絶につながる法改正を

産経ニュース

いじめ防止対策推進法が成立するきっかけとなった平成23年の大津市立中2年の男子生徒=当時(13)=の自殺から10年が経過した。

だが、25年の同法施行後もいじめ自殺は増加の一途をたどり、学校側の対応が問題となる事例も後を絶たない。いじめ根絶に向けた実効力のある法改正の議論を進めるべきだ。

男子生徒の自殺をめぐっては、学校の調査で複数の生徒が「自殺の練習をさせられていた」などと回答したにもかかわらず、市教育委員会が公表しなかったことが問題となった。同法は、一定の人間関係がある児童生徒の行為で「心身の苦痛を感じているもの」をいじめとし、心身への大きな被害や長期欠席は「重大事態」と規定した。教委や学校には、調査組織の設置を義務付けた。

それでも、いじめ問題は深刻なままである。文部科学省の調査によると、令和元年度に全国の小中高校などで確認されたいじめは61万件超に上り、このうち重大事態は723件だった。いずれも過去最多を更新した。

看過できないのは、10年前と同じ事態が繰り返されていることである。昨年11月に東京都町田市立小6年の女児=当時(12)=がいじめを訴える遺書を残して自殺した問題では、学校が自殺前にいじめを把握しながら「当事者同士で解決した」として遺族に伝えていなかった。北海道旭川市で今年3月、中学2年の女子生徒=当時(14)=が凍死した問題では、家族が調査を求めたが学校側はいじめと認定せず、第三者委員会が再調査を進めている。

同法には施行後3年をめどに改正の必要性を検討すると記されている。遺族は罰則規定や中立・公正な調査委の選任、被害者の申し立てによる再調査などを盛り込んだ法改正を求めてきた。それなのに、改正どころか議論すら進んでいないのはどうしたことか。

元年度の調査では、SNS(会員制交流サイト)などを使った「ネットいじめ」の認知件数も約1万8千件と過去最多を更新した。大人が把握することが困難な現代社会のいじめであり、その対応も急務といえる。

二度と同じことが起きないよう、子供を守るべき大人がいじめ問題に真摯(しんし)に向き合うことが遺族の願いである。これに応えられるかどうかが改めて問われよう。

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