チャイナリスクが国際金融市場を揺るがす理由 政権が制御できない対外債務の膨張続く

【お金は知っている】

 中国の不動産業大手、中国恒大集団の巨額債務返済危機は、延々と国際金融市場を揺るがせるチャイナリスクの始まりに過ぎない。習近平政権が制御できない対外債務が膨張を続けているからだ。

 恒大集団の負債は総額で約4300兆円に上る中国の民間(家計・企業合計)負債総額の0・75%に過ぎない。その債務返済不能(デフォルト)不安が重大問題となるのは、中国の不動産大手が巨額の債務返済不安を抱えているからだ。習政権は手っ取り早い経済成長底上げ手段として不動産開発を中心とする上物(固定資産)投資に依存し、住宅ブームを演出してきた。

 固定資産投資の対国内総生産(GDP)比率はいまなお5割近い。家計消費や貿易収支黒字などが横ばいだとしても、固定資産投資を前年比で20%以上増やせば、GDPを2ケタ台に成長させられる。

 固定資産投資の中核が住宅である。中国はこれまで何度も住宅価格下落に遭遇してきたが、不動産相場の下落を最小限に抑え、再び上昇軌道に乗せてきた。党が不動産の供給ばかりでなく、金融機関に指示してカネの流れを統制するシステムだからこそ可能な離れ業だ。

 恒大危機の現在でも、リーマン・ショックの二の舞いが避けられるとの楽観論が根強いのは、中国特有の成功体験があるからだ。

 だが、今や局面が異なる。グラフを見よう。

 中国では本来、人民元建ての国内金融が主流であり、担い手は銀行ばかりではない。シャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれる理財商品など信託商品を発行するノンバンクが幅をきかせている。これら一切合切を合計したものが総金融債務となる。それでも資金需要に追いつかない。不動産などの民間企業は主に社債発行によって海外からドル資金を調達している。

 中国人民銀行は人民元の信用を維持するために、入ってくる外貨を手元に集中させて外貨準備とし、それに応じて人民元を発行している。外貨をひきつけるためには人民元の対ドル相場を安定させる必要があり、人民元の対ドル交換レートを当局が決める基準レート周辺でしか変動させないようにしている。

 習政権はさらに国際金融センター香港を完全支配し、香港経由の資本逃避ルート遮断を図っている。それでも、習政権による拡大中華経済圏構想「一帯一路」など対外投資と人民元金融拡大のために、海外からの借り入れに頼っている。

 もう一つ、注目すべきは債務が猛スピードで増えているにもかかわらず、経済成長が追いつかない点だ。今年前半の統計値を年間に置き換えたGDPを2015年と比較すると、GDPは1・5倍だが、総債務は2・2倍、対外債務は1・8倍である。

 固定資産投資依存を減らす中で、経済成長率の減速傾向は止まらない。新型コロナウイルス・パンデミックの20年は不動産開発投資の増加分がGDPの増加分の31%を占めた。不動産市場の崩壊は中国経済のアンカー(碇)の喪失を意味するのだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

zakzak

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