財務次官の「バラマキ批判」論文 「大変失礼」「協力してもらわないと」高市氏が激怒 かつて元空幕長・田母神氏は更迭、岸田政権はケジメ付けるのか

岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問が11日午後、衆院本会議で始まる。与野党は衆院選(19日公示-31日投開票)をにらんで主張を競う。こうしたなか、財務省の矢野康治事務次官が月刊誌「文芸春秋」11月号への寄稿で、衆院選や自民党総裁選に絡む政策論争を「バラマキ合戦」と批判したことが問題視されている。岸田文雄首相はくぎを刺し、自民党の高市早苗政調会長は強い不快感をあらわにした。2008年には、田母神俊雄航空幕僚長(当時)が論文を投稿し、「政府見解と異なる」として更迭されたことがある。岸田政権はケジメを付けるのか。

「大変失礼な言い方だと思います。基礎的な財政収支にこだわって、今本当に困っている方々を助けない。未来を担う子供たちに投資しない。こんなバカげた話はないと思います」「(日本の国債は)自国通貨建てだからデフォルト(債務不履行)は起こらない」「名目成長率が名目金利を上回ったら財政は改善していく。何としても、事業主体を維持していく。分配するなかで消費マインドを高めていく。総合的に考えてほしい」

高市氏は10日のNHK番組で、矢野氏の寄稿について、こう言い切った。ほぼ、激怒といえる発言だった。

岸田首相も同日のフジテレビ番組で、「いろんな議論はあっていいが、いったん方向が決まったら関係者はしっかりと協力してもらわなければならない」と指摘した。

矢野氏の寄稿は、「財務次官、モノ申す」「このままでは国家財政は破綻する」というタイトルで、10ページにわたって記されている。「(日本は)先進国でずば抜けて大きな借金を抱えている」「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」などと危機感を表明している。

新型コロナ禍で、与野党が国民の苦境を見て「給付」や「減税」に関する政策論争を展開していることにも、「バラマキ合戦」とこき下ろし、財政再建は喫緊の課題だと訴えている。

岸田首相は8日の所信表明演説で、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と強調した。その首相が指示した経済対策についても、矢野氏は「本当に巨額の経済対策が必要なのか。その経済対策は有効なのか。コストや弊害も含めて、よく吟味する必要がある」と突き放しているのだ。

矢野氏は山口県出身。一橋大学卒業後、1985年に旧大蔵省(現財務省)に入省した。官房長や主税局長、主計局長を経て、今年7月から事務次官となった。「省内屈指の財政規律論者」として知られる。

2012~15年まで、当時の菅義偉官房長官(前首相)の秘書官を務めて、注目された。旧大蔵省時代を含め、財務省の事務次官は東大法卒が主流だったが、戦後初めて一橋大出身者が就いた。

今回の寄稿は、現職次官による異例の意見表明であり、岸田首相を含む与野党の政策論争を批判した内容だ。ところが、鈴木俊一財務相は8日の記者会見で、「個人的な思いをつづったと書いてある。中身は問題だと思わない」と説明したが、それでいいのか。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は「矢野氏は『筋金入りの財政規律論者』だ。確かに、財政は野放図であってはならないが、現在はコロナ禍という緊急事態だ。倒産が増え、消費も伸び悩むなか、財務官僚トップの発言としてはあり得ない。財務省では『消費増税の画策』も始まっているという。これでは国民は納得できない」と語る。

一方、政治評論家の伊藤達美氏は「矢野氏は、個人の責任で国民に厳しい財政の実情を説明しようとしたものといえる。彼らにも『言論の自由』はあると考える。衆院選直前だからこそ、多元的に、いろんな議論があっていいのではないか」と指摘する。

幹部官僚の寄稿・論文が問題となったケースとしては、2008年に田母神俊雄航空幕僚長が「日本は侵略国家であったのか」という論文を投稿した。左派メディアの猛烈な批判を受け、政府見解と異なるという理由で更迭された。

国防ジャーナリストの小笠原理恵氏は「衆院選直前のタイミングで、本来、首相や大臣の命令で動く公務員が、自身の政治的主張をした。いわば『財務省のクーデター』だ。内容がどうあれ、法治国家では許されない。岸田首相は『田母神氏更迭』の先例を踏襲し、公平を考えて矢野氏を更迭すべきだ。これができれば、岸田首相のどこか弱々しいイメージは一新され、国民の期待は一気に高まるだろう」と語っている。

zakzak

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