犯罪最前線

映画だけじゃない 急増する「ファスト」コンテンツ

産経ニュース
SNS上で「本 図解」などと検索すると、書籍の内容を要約して図にまとめた「図解」を投稿するアカウントが多数現れる(画像を加工しています)
SNS上で「本 図解」などと検索すると、書籍の内容を要約して図にまとめた「図解」を投稿するアカウントが多数現れる(画像を加工しています)

映画の内容を10分程度に短く編集し、無断で動画投稿サイトなどで公開する「ファスト映画」が流行し問題視される中、書籍や漫画など、映画以外のコンテンツでも「ファスト化」の動きが進んでいる。SNS上では書籍などの内容を短く要約した画像が多数公開されており、専門家らはファスト映画と同じく、著作権法違反の可能性を指摘する。一方、情報過多の時代において、人々が少しでも効率よくコンテンツを消費したいと考える傾向は「今後も続く」との声もあり、情報発信のあり方が問われている。

本を「図解」で解説

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ツイッターで「本 図解」などと検索すると、こうしたうたい文句とともに、書籍の内容を要約して数枚の画像にまとめた「図解」投稿が多数現れる。

投稿では、書籍の重要な部分を抜き出して記述、表やグラフなどを用いて分かりやすく図解しており、「読む時間がなかったので助かった」など、好意的なコメントとともに多数の「いいね」が付いていた。

投稿者の中には、こうした図解の技術を教えるとうたい、情報商材などを販売しているアカウントも存在する。

一方、著作権法違反によって逮捕者も出た「ファスト映画」と同様に、SNS上では「書籍の図解も著作権侵害ではないか」という声も上がっている。

ファスト映画の違法性

ファスト映画に関しては、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の今夏の調査で、有料で鑑賞されなくなったことによる過去1年間の被害額が900億円を超えたと推計されており、書籍でも同様の被害が出ている可能性もある。

警察による「ファスト映画」の摘発に協力した中島博之弁護士は、こうした図解は「著作権者に無断で書籍の要約を公開している場合、『複製権』や『翻案権』の侵害に当たる可能性がある」と指摘する。

簡単なキャッチコピーを載せる程度でなく、「元書籍の文章や図表をほとんどそのまま載せている場合、違法となる可能性が高い」と説明する。

自分の論の補強に使うわけではないため「引用」にも当たらない可能性が高いといい、中島弁護士は「人が苦労して作り上げた著作物を無断で使い、利益を得ようとする行為は許されない」と述べる。

コンテンツ消費の加速

書籍以外にも、長編漫画を短く要約した動画が多数投稿されるなど、こうした「ファスト」コンテンツは増加の一途をたどっている。背景には、情報過多となった現代における、コンテンツ消費の加速化がある。

メディアやSNSの動向に詳しい電通メディアイノベーションラボ主任研究員の天野彬氏は「スマートフォンやSNSの普及によってコンテンツがあふれ、短い時間でより多くの情報を得る『タイムパフォーマンス』の良さが求められるようになっている」と分析する。

とくにコロナ禍による外出自粛などで、人々がメディアに触れる時間が増えたことや、発信者側が簡単に注目を集めるコンテンツを作りだせることも、この傾向を加速させているという。

一方、ファストコンテンツには「これを機に購入しようと思った」などのコメントが付くこともあり、天野氏は「興行収入などにつながる可能性もある」と指摘する。「情報があふれて処理しきれない時代になっていることは事実。短い時間でより多くの情報を得たいというニーズはなくならない」と、今後もコンテンツのファスト化傾向は続くと予想する。

天野氏は「著作権を侵害しないことは大前提」とした上で「『良いファスト』と『悪いファスト』を見極め、ユーザーがどうポジティブにコンテンツを消費していくかが大切だ」と話している。(根本和哉)

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