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先進医療で胃の腫瘍“GIST”に内視鏡手術導入、腹腔鏡手術の弱点補う術式 大阪国際がんセンター・上堂文也副部長が解説

手術中のようす
手術中のようす

 「胃がん」は胃の一番内側の粘膜に病変ができるが、胃の粘膜の下にできる腫瘍を「胃粘膜下腫瘍」と呼ぶ。胃粘膜下腫瘍には良性から悪性までさまざまなものがあり、表面が正常な粘膜で覆われているので、内視鏡で見ると腫瘍部分は粘膜が盛り上がって見える。

 胃粘膜下腫瘍で最も多いのが「消化管間質腫瘍(GIST=ジスト)」で、悪性度の高いものもあるので診断がつけば手術で切除する必要がある。GISTの手術は腹部に孔(あな)を5~6カ所開けて行う「腹腔鏡手術」が一般的だが、先進医療では「内視鏡的胃局所切除術」(以下、内視鏡手術)という術式が行われている。どんな手術なのか。

 昨年10月に先進医療として国内で初めて臨床に導入した大阪国際がんセンター・消化管内科の上堂文也副部長が説明する。

 「GISTの内視鏡手術は全身麻酔になりますが、口から内視鏡を挿入して腫瘍部分を切除する術式になります。しかし、粘膜だけを取る早期胃がんの内視鏡手術と違って、GISTは粘膜下に病変があるので、胃の内側から切ろうとすると胃に穴が開き、胃の中身が外に広がって腹膜炎を起こすため、これまでは難しいと考えられていました。それで腹腔鏡手術が行われてきた経緯があります」

 しかし、腹腔鏡手術にも弱点がある。それはGISTの多くが、胃の内側に盛り上がるタイプだからだ。腹腔鏡は胃の外側から切るので、腫瘍部分を取ろうとすると周りの胃を必要以上に切除してしまい、胃が変形したり機能障害を起こすことがあるのだ。

 その弱点を補う術式として、内視鏡と腹腔鏡を組み合わせた「腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術(LECS)」が、2014年に保険適用になっているが、腹部に傷をつけない内視鏡手術だけで済むなら、それに越したことはない。

 では、GISTの内視鏡手術に問題はないのか。

 「胃を切除した時点で、内容物が腹腔内に少し漏れ出ます。しかし、胃の中は胃液の影響で細菌が少なく、おなか全体に広がるような腹膜炎にはなりません。それに術前から術後の数日間は抗生物質を投与します。また、腹膜播種(腫瘍細胞が腹腔内に漏れ出ること)を防ぐため、潰瘍のない病変が対象、術中に腫瘍の表面を損傷しない、切除後はすぐに縫合する、などの注意を払っています」

 手術時間はLECSでは2~3時間かかるが、内視鏡手術は1時間半ほど。ただし、切除した胃を縫合するのに腹腔鏡手術のような自動縫合器が現時点ではなく、円形状ワイヤとクリップで縫合する。傷口が完全に塞がるまで少し時間がかかるので、入院期間は他の術式と同じで1週間前後という。

 現在、先進医療でGISTの内視鏡手術を実施できる医療機関は、横浜市立大学附属市民総合医療センターなど全国5施設になる。(新井貴)

zakzak

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