突破する日本

岸田首相の政権運営は“番頭役”で帰趨決まる 「安倍政治」を継承したうえで独自の「岸田カラー」打ち出せるか

自民党・甘利明幹事長
自民党・甘利明幹事長

 自民党総裁選で新総裁に選出された岸田文雄氏が4日、第100代首相に就任した。岸田政権のスタートだ。自民党役員と閣僚の人事には、安倍晋三元首相に配慮した姿がうかがえる。左派メディアの「安倍カラー」人事という批判は当たっている。岸田政権は「安倍政治」を基本的に継承したうえで、独自の「岸田カラー」を打ち出すことになる。

 どんな組織もそうだが、リーダーだけでは組織を運営できない。親身になって支え、ときに汚れ役や諫言をしてくれる番頭や側近が必要だ。

 菅義偉前首相の政権運営がうまくいかなかった理由に、「番頭や側近を欠いた」ことがある。朝日新聞が珍しく鋭い分析をしていた。

 「誰よりも働くから、部下としては重宝される。だから政権2番手の官房長官としては本領を発揮した。(中略)しかし、同じことを自分が頂上に立った時にできたのか。政治家が頂点に登り詰め、地位を保てるかは番頭や側近に左右される。(中略)菅氏にはそういう存在がいなかった。1人だった」(9月28日付)-。

 安倍氏は、菅政権発足直後に「菅首相には菅官房長官がいないという話もある」と冗談めかして語っていた。結局、それが菅氏を苦しめ、最後は党の役員人事や衆院解散のタイミングを間違え、求心力を失った。総裁選でも河野太郎氏を支持し、政局勘を鈍らせた。

 岸田首相の場合はどうか。党の要の幹事長に、甘利明氏を起用した。安倍氏や党副総裁となった麻生太郎氏と気脈が通じる「3A」の一人だ。総裁選でも岸田氏を支持した。二階俊博前幹事長の後任でもあり、大物の起用が必要だった。党内統治は万全だ。甘利幹事長が、岸田首相をどう支えていくかで政権運営の帰趨(きすう)が決まると言ってよい。

 内閣の要の官房長官には、細田派の松野博一氏を起用した。自派の岸田派からの起用でも良かったが、あえて細田派からの起用だ。「安倍氏は別の人物を推した」との話もあるが、悪い人事ではない。地味だが、調整能力もある。自分を主張するタイプではなく、口も堅い。裏の仕事や汚れ役もできる。安倍政権での菅官房長官と重なる。

 政務の官房副長官は、岸田派の木原誠二氏と磯崎仁彦氏で固めた。事務の副長官には、栗生(くりゅう)俊一元警察庁長官を起用した。前任の杉田和博氏と同じ警察出身で官僚へにらみを利かせる。筆頭格の首相秘書官には、嶋田隆元経産事務次官が就いた。次官経験者の起用は異例。官僚をコントロールするためだ。

 総じてよく考えられた人事であり、安定した政権運営を期待したい。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

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