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遠藤雄弥 アイドル俳優から“実力派”への脱皮 ジャングルで生き抜いた小野田少尉役で14キロ減量 松田優作主演映画を見て衝撃「あの人ならどう表現しただろうか」

 「アイドル俳優だなんて呼ばれ、あの頃は『俳優という仕事は何なのだろう?』と葛藤していました。でも、今は違います。この道を究めたい。強くそう思ってます」

 十数年前、人気アイドルグループ「D-BOYS」のリーダー時代に取材した際、少年のような初々しい表情で、「アイドルも俳優も面白い。どんな役にも挑戦したい」と朗らかに語っていた。が、実は心の中でずっと悩んでいたようだ。

 そして今。幼かった面影など微塵もなく、たくましさと同時にスゴみさえ感じさせる。

 「ハードボイルドやアウトローの役にとても興味があります」

 こう語るように先月まで放送されていた唐沢寿明主演の刑事ドラマ「ボイスII 110緊急指令室」では強行犯係の屈強な刑事役を、井筒和幸監督の任侠映画「無頼」では暴力団の舎弟役を演じるなど、「アイドルからの脱皮を図り続けてきた」跡がうかがえる。

 そんな「覚悟の極めつけ」ともいえる重厚な社会派作品が封切られる。

 タイトルは「ONODA 一万夜を越えて」(8日公開)。戦後30年を経て帰国した日本陸軍少尉、小野田寛郎の人生を仏のアルチュール・アラリ監督が撮った合作映画。主人公の小野田を演じた。

 「『やせ過ぎだ。体重を戻せ!』。カンボジアの撮影現場へ到着すると、いきなり監督にこう怒られてしまって」

 ジャングルを生き抜く小野田を演じるため、「13~14キロ減量して現地へ乗り込んだんですけど」と笑顔で語るが、普段の体重は約60キロ。想像を絶するダイエットの姿が目に浮かぶ。

 「役作りのアプローチだから苦ではありませんでした。でも、仕方ないからすぐに戻しました。監督にもらったパンを必死に食べて」

 約4カ月間、酷暑の中で撮影は続いた。

 小野田役は2人。青年期の小野田を演じ切り、中年期を演じる先輩俳優の津田寛治へとバトンを引き継ぐ。

 「現地に着いた津田さんが監督に叱られていました。『何でそんなにやせているんだ!』と。津田さんも約14キロ減量してきていたんですよ」と苦笑した。

 もっとも、このフランス人監督。怒りながらも、日本人俳優の役者魂に感激し、これが逆に信頼を深めるきっかけになったという。「海外での長期ロケは初めてで、仏、ベルギー、カンボジアなど海外スタッフがほとんど。すべてが新鮮な経験でしたね」

 デビュー作は映画「ジュブナイル」。主演だった。後に「永遠の0(ゼロ)」などを手掛けるヒットメーカー、山崎貴の監督デビュー作でもある。

 「オーディションに合格した理由? 山崎監督から『ダメさ加減が良い』と言われて」とは意外だ。

 「ロボットと成長する少年の役。監督は僕を『ドラえもん』に頼ってばかりの、のび太に重ね合わせていたようですね」

 アイドル路線から実力派に成長し、海外へも進出。振り返れば、「転機は10年前でした」と明かし、こう続けた。

 「松田優作さん主演の映画『野獣死すべし』を見て衝撃を受けました。鬼気迫る演技が、自ら脚本を書き直したものだと知って…。自分もそこまで突き詰めたい、と」

 ただ史実をたどるだけでは小野田を演じることはできない-。「絶望の淵で見た哀しみや希望。松田優作ならどう表現しただろうか」。絶えず考え続けた。

 取材中、優しく澄んだ瞳に、小野田が乗り移ったかのような鋭い眼光を何度も見た。

 役者として生きる。そう心に決めてから、自身をいじめ抜き、ここにたどり着き、これからもブレずに進んでいくのだろう。ソーシャルディスタンスをとりながらも、伝わってくるヒリヒリとした熱量を頼もしく感じた。

(ペン・波多野康雅 カメラ・恵守乾)

 ■遠藤雄弥(えんどう・ゆうや) 俳優。1987年3月20日生まれ。34歳。神奈川県出身。2000年、13歳で映画「ジュブナイル」に子役で主演し俳優デビュー。映画は「シャカリキ!」(08年)、「空母いぶき」(19年)など。ドラマはNHK連続テレビ小説「スカーレット」、「ボイス」(19年~)シリーズなど多数。アイドルグループ「D-BOYS」初代リーダー(08~12年)。映画「ONODA 一万夜を越えて」が10月8日公開。

zakzak

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