突破する日本

「安倍政治」継承を問われた自民総裁選 高市氏の主張で候補者の政策「保守寄り」に 「小石河連合」には“冷や飯暮らし”が待っている

総裁選ではしのぎを削った4人だが…
総裁選ではしのぎを削った4人だが…

 自民党総裁選の隠れたテーマは、「安倍政治」の継承か否かだった。最後は、岸田文雄氏が、安倍晋三前首相らの支持を得て勝利した。左派メディアは、自民党役員や閣僚の人事を「安倍カラー」と批判している。

 当初、メディアは安倍氏と政策や人間関係で距離のある河野太郎氏を持ち上げた。安倍氏が支持した高市早苗氏は泡まつ候補扱い。岸田氏も、河野氏に負けると思われていた。野田聖子氏は独自の役割を期待された。

 総裁選は実質1カ月弱の長期戦。瞬間風速の人気投票ではない。時間が政策や人格を浮き彫りにした。

 勢いのあった河野氏は後半戦、失速した。「保守」を自称するものの、政策はリベラルそのもの。「脱原発」で「女系天皇」「夫婦別姓」「同性婚」にも賛成だ。安倍氏が首相退任時の置き土産とした敵基地攻撃能力の保有検討を「昭和の発想」とこき下ろした。「安倍政治」の向こうを張ろうとした。

 河野陣営の小泉進次郎氏は、安倍氏が影響力を持つ最大派閥、細田派を公然と批判した。安倍氏と距離がある石破茂氏も陣営に入った。政局勘が鈍った菅義偉首相も支持した。

 一方、高市氏は明確に「安倍政治」を継承するとした。「アベノミクス」を継承・発展させた経済政策「サナエノミクス」を打ち出し、女系天皇や夫婦別姓に反対し、「靖国神社参拝」も約束した。

 菅政権では敵基地攻撃能力ついて検討さえせず、党内でも夫婦別姓や「LGBT法案」が検討されるなど、「自民党の左傾化、リベラル化」が疑われ、「岩盤保守層」が自民党支持から離れていた。各選挙区で、1万人とも1万5000人ともいわれる。共産党にも匹敵する数だ。

 高市氏の立候補と安倍氏の支持で「岩盤保守層」は沸き立った。自民党支持に戻ってきた。安倍氏が高市氏を支持した目的の1つはそこにあった。1回目の投票で、国会議員票は高市氏が河野氏を大きく上回った。

 安倍氏のもう1つの目的は、党の政策を全体として「リベラルから保守に戻す」ことだった。総裁選では、高市氏の主張によって候補者の政策が保守寄りにシフトした。岸田氏は女系天皇に反対、夫婦別姓でも慎重論を打ち出した。河野氏さえ女系天皇、脱原発の持論を封印した。

 決選投票での、岸田・高市両陣営の連合は織り込み済みだった。岸田氏は安倍氏らの支持を得て勝利し、新総裁・新首相となった。「安倍政治」の継承は当然だ。そのうえで、独自の政策をどう打ち出していくかだ。

 敗れた河野氏と小泉氏、石破氏の「小石河連合」には、冷や飯暮らしが待っている。菅氏も政治力を失う。権力闘争の常だ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

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