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川瀬巴水の新版画を堪能 特別展に400点 大田区立郷土博物館

 都営線乗り放題のシルバーパスで最寄り駅から都営三田線に乗り、三田駅で都営浅草線に乗り換え終点の西馬込駅まで行った。徒歩数分の東京都大田区立郷土博物館が目的地。特別展「川瀬巴水 版画で旅する日本の風景」(9月20日に終了)を見るためだ。

 川瀬巴水は大正から昭和にかけて新版画を製作。日本中を旅して生涯600点以上の風景作品を残した。その写生帖や折々の写真とともに400点の風景作品が展示されている。心にしみるどこかなつかしい日本の風景を堪能した。

 作品と写生帖を見比べるのも一興だが、展示途中にある「若狭…久出の浜」では「木版画順序摺」として34回も重ね摺りした製作過程がまとめられた画帳も展示されている。非常に繊細な作業ででき上がった作品はいずれも静謐な空気をそのまま絵の中に閉じ込めた独特な画風だ。

 極め付きは、大正13(1924)年の「出雲松江(曇り日)(おぼろ月)(三日月)」の三部作。風景の構図は同じだが、月や雲の様子が微妙に異なる。それぞれに味わいが変わるのが面白い。また、昭和32(1957)年の絶筆「平泉金色堂」は筆者の郷里だったのも感慨深い。

 ところで、馬込にはかつて馬込文士村があり、上池上町に住んでいた巴水も含め、宇野千代、尾崎士郎、和辻哲郎ら作家がつどっていたという。往時をしのばせる展示もあり、版画の製作過程を解説した「版画に生きる川瀬巴水」というカラー映画も上映されており、内容の濃い展示だ。

 満足して絵はがきなどを購入し帰路についた。 (いくちゃん)

 【大田区立郷土博物館】 東京都大田区南馬込5の11の13。9~17時、月曜休館、入館無料。特別展のほか旧石器時代から中世までの出土遺物や、旧荏原郡の農漁村の暮らし、馬込文化村などの常設展示がある。

zakzak

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