中国経済“電気ショック” 深刻な電力不足…習体制の「温室効果ガス排出ゼロ」宣言が原因か 不動産バブル崩壊に続く危機

停電の間は発電機の電球だけで営業する中国・瀋陽の商店(AP)
停電の間は発電機の電球だけで営業する中国・瀋陽の商店(AP)

 中国で、不動産バブル崩壊危機に続く「チャイナリスク」が急浮上している。石炭価格の高騰による供給不足で深刻な電力不足に陥り、中国全土で停電が発生しているのだ。習近平国家主席が「温室効果ガス排出実質ゼロ」という大見えを切って石炭火力発電所の稼働率を下げたことも要因の一つとみられ、サプライチェーン(供給網)への影響は避けられそうにない。

 中国の景況感を示す9月の製造業購買担当者指数(PMI)は49・6と1年7カ月ぶりに節目の「50」を割り込んだ。景況感が悪化した大きな要因が電力不足だ。

 中国メディアの報道では、国内20省・自治区・直轄市で電力不足が発生しており、来年3月まで停電や断水が常態化する地区もあるという。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)広州事務所によると、広東省で少なくとも約180の日系企業が影響を受けている。事前予告なしに電力供給を遮断されたケースがあるほか、「週7日」の電力制限を受ける企業もあるという。また米アップルや米電気自動車(EV)大手テスラも影響を受けている。

 深刻な電力不足を受けて中国国家発展改革委員会は9月29日、一般消費者による冬場の電力需要を満たすため、石炭供給を確保する必要があると発表した。地方政府や鉄道会社に石炭の輸送を強化するよう求めており、緊急事態であることがうかがえる。

 背景にあるのは、習体制による過度な温室効果ガス排出目標だ。中国は世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国であることから、習主席は昨年9月の国連総会で、2060年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指すと宣言した。号令を受けた地方政府が目標達成に躍起になり、石炭火力発電所の稼働率を下げる動きが相次いだ。これに製造業のコロナ禍からの回復も重なった結果、電力不足に陥ったのだ。

 米ブルームバーグは、「年末商戦前の世界サプライチェーンに新たな脅威」と伝えた。中国は石炭のほとんどを国内で生産しているものの、短期間で生産を増やすことは難しいとみられる。

 海外からの調達も難しい。オーストラリアとの関係悪化により、昨年9月に豪州産の石炭を輸入禁止に踏み切ったことも裏目に出た。

 エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「電力が余るはずの夜に停電していることや異常なまでに液化天然ガス(LNG)価格が高騰していることなどを考えれば、計画経済がうまくいっていないことが推察できる。年末にかけて世界のサプライチェーンに打撃を与えることは必至といえるが、チャイナリスクを回避するために中国を離れる企業も出てくるということだ」と指摘した。

zakzak

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