都民の警察官の横顔 ③

「通報者の声、現場に届ける」 通信指令本部第3指令課・沼田治警部補

産経ニュース
110番通報に誠意を持って対応してきたという沼田治警部補
110番通報に誠意を持って対応してきたという沼田治警部補

110番通報の「受け手」となる受理業務に、長く携わってきた。受理といっても、通報者の声に、ただ耳を傾けていればいい訳ではない。《現場はどこで、どんな状況にあるのか》。混乱状態かもしれない通報者から、顔が見えない中で声色だけで緊急性を判断し、迅速に情報を引き出さなければならない。

加えて、通報者とやりとりしながら手元のコンピューター画面に手書きする通報の内容は、リアルタイムで現場に画面のまま流されるため、読みやすさが求められる。もちろん通報者の意図をくみ取れなければ、取り返しのつかない事態を招く。間違えは許されない中で、1回の勤務で受ける通報は200~300件にも達し、精神的な負荷は計り知れない。

ただ配置転換を打診されたこともあったが、受理業務にこだわってきた。「都民の声を現場の警察官に届ける『架け橋』となる道を極めたい」と語る。

家計を助けようと職を探す中で、持ち前の体力を「生かせるのではないか」と警察官の職を選んだ。そのため将来を思い描くような「警察官像」はなく、真っ白な状態から経験を積んだ。振り出しは滝野川署。事件もほとんどなく、静かな街を巡回する度に「自分がこの平穏を守っている」と警察官としての自負が芽生えたという。だが、高齢女性が倒れてきたクレーンの下敷きになる事故が発生。現場での交通整理さえ満足にできない自分に歯がゆさを覚えた。

以来、目の前の仕事に精いっぱい取り組んできた。そして出合ったのが受理業務。「こんな業務が警察官にあることも知らなかった」というが、先輩が地図を片手に通報と「格闘」する姿に、なぜか、ひかれた。

受理業務に没頭し、強盗や特殊詐欺の犯人逮捕に貢献。自殺を防いだこともあった。「辛く厳しく『辞めたい』と思ったことは何度もある。でも周囲に支えられ、ここまで来た」。気づけば、部下に背中で見せる立場だ。《常に相手の立場に立って言葉遣いは丁寧に》。大切にしてきた信条を後進へ伝えていくのが使命だと思っている。

(根本和哉)

ぬまた・おさむ 千葉県出身。昭和61年入庁。滝野川署、第6機動隊を経て、通信指令本部に。その後、第2機動隊や小岩署などでも勤務し、現在は3度目の通信指令本部勤務。妻の宣子さん(52)と長男(22)、次男(17)の4人家族。趣味はランニングとウオーキングで、毎日自宅周辺で汗を流す。53歳。

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