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男子料理研究家・福本陽子 オトコの料理はやった者勝ち 予約の取れない料理教室で延べ6000人超え

 予約の取れない男子料理教室「メンズキッチン」の代表。料理を教えた男性は延べ6000人超。オンライン教室も600人を超えた。レシピ通りに教えるだけでなく、調味料の調合を理科の実験、料理のプロセスをプラモデル作りに例えるなど、“男性脳”を刺激させる。これが人気の要因の1つ。

 「魚をさばくとき、魚の構造を説明し、『ここにある骨を断ち切るために、このように包丁を入れます』と理論的に話すと、『なるほど』となるんです」

 さらに、「この食材はどう流通しているのか」といった知的好奇心をくすぐるような話も盛り込みながら、料理の手順を説明する。

 「ビジネスマンや経営者の方が多いので、ビジネス的な観点でお話すると、料理も違う見方ができ、面白がっていただけます」

 「出世する人は料理がうまい」「料理は段取りが9割」「男の料理が周りを幸せにする」「自分で考えて行動する訓練に料理はうってつけ」などの言葉もポンポン出てくる。

 「料理のスキルはビジネススキルに通じるんですね。その相関性に注目し、社員研修のプログラムに料理を組み込む企業も増えつつあります。料理後にブレーンストーミングをすると、普段の会議に比べてバラエティーに富んだ案が飛び出すこともあります。失敗しても、あとで食べながら笑い話にできます」

 ある会社で部署ごとに分かれて飾りずしを作ってもらったら、設計部チームはレシピを設計図ととらえて作業を進めていった。一方、コミュニケーション能力の高い営業部チームは、レシピを見ないでみんなと相談しながら完成した。

 「『その人の持ち味が適材適所に配置されて素晴らしいですね』と言ったら、その会社の社長さん、大喜びでした」

 自営業の家庭に育ち、反抗期の時期も夕飯は必ず家族一緒だった。母が週末に作ったチキンライス、ナポリタン、ハンバーグのお子様ランチ、そしてクリームコロッケの味が、いまも記憶に残っている。

 「母は料理が上手で、教わった早朝のキッチンは楽しかったですね。年末の黒豆、栗きんとん作りも忘れられません」

 料理をしない父親が、母が不在のときに一度だけ作ってくれた“黒ごはん”も鮮明に覚えている。

 「前夜のすき焼きの残り汁にごはんを入れただけのものですが、父がキッチンに立っただけでもびっくりしたのに、おいしくて。天才かって思いましたね。料理って愛情の表現ですよね。私の心の中に温かく残っているものを、いろいろな方に体験していただきたいと思っています」

 旅行会社を経て、マーケティングの会社で住宅や都市開発のコンサルタントやキッチン関連商品などの開発に携わる。その業務で多くの主婦の話を聞き、夫とのコミュニケーションがうまく取れない寂しさを抱えていることを知り、「住宅がきれいでも、住む人の暮らしが充実しないと本当の幸せはない」ことを実感する。

 「男性が家族と一緒にキッチンに立ち、横並びになって同じ方向を見ながら話せば、いろいろものが共有でき、家族の会話も増えるのではないかと思いました」

 で、2010年、男性に料理の楽しさを知ってほしいと「メンズキッチン」をスタート。

 「料理には凝り固まった頭をリセットする働きもあります。コロナ禍、家で仕事をしていると、オン、オフがつきづらいんですよね。少しの間、頭を空っぽにして料理に没頭すると、頭の切り替えができます。昨年5月から完全オンライン教室に切り替えましたが、メリットの1つは、自宅キッチンの調理器具、調味料を使って身近な食材を料理できること。それによって、自信もつくんですね」

 ということで、夕刊フジ読者の料理をしたことのない人にアドバイス。

 「やっぱり最初は簡単なところから。例えば、煮込みハンバーグ。シチューや煮込み料理は、わからなくなっても、レシピを見ながらゆっくり作れます。ハンバーグは野菜を切る、肉をこねる、焼き上げるという料理の基本となるプロセスを簡単に学べます。逆にチャーハンなどの卵料理はお勧めできません。卵は火が入るのが速いので、スピードが命。慣れないとアタフタします」

 19歳の夏、旅行関係の専門学校にいたとき、健康診断で肺の横に大きな腫瘍が見つかった。志望の旅行会社の内定を決めてから手術をした。

 「悪性だったら、あのとき人生終わっていました。神様のさじ加減で生かしてもらったようなもの。それで、何か人のためになるようなことをしたいと思いました。家族に料理を作ると『ありがとう』と喜んでもらえます。みんなを笑顔にする男子料理を広めていきたいですね。料理はやった者勝ちですよ」

 (ペン・鈴木恭平 カメラ・宮崎瑞穂)

 ■福本陽子(ふくもと・ようこ) 男子料理研究家、トータルフードプロデューサー。1971年2月12日生まれ。50歳。埼玉県育ち。旅行会社、マーケティング&コンサルティング会社を経て、2010年、「メンズキッチン」をスタート。父子料理教室「パパズキッチン」なども展開。料理を使った社員研修や食関連企業のコンサルティングなども手掛ける。著書は『料理ができる男は無敵である』(サンマーク出版)。「すごい料理を作る必要はありません。コンビニの総菜にプラスするだけでもいいんです。やれる範囲でやる。これが長続きするコツです」

zakzak


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