有本香の以読制毒

岸田新総裁に注文、独裁国家に対峙できる「保守政党」に戻してください 「キングメーカー」なんて的外れ…安倍氏は自民党と日本に危機感

 ご承知のとおり、29日午後、岸田文雄氏が自民党の新しい総裁に選出された。得票結果とその背景については、すでに多くの論評がなされている。本コラムでまずお伝えすべきは、本紙読者の皆さまの間で支持の高かった高市早苗前総務相についてである。

 残念ながら決選投票に進むことなく敗れたが、国会議員票で河野太郎行革担当相を大きく上回り、100票ラインをも大きく超えたことは、「次につながる敗け」だったといえよう。

 開票終了後に筆者がやり取りしたメールの中で、高市さん自身も「議員票2位は励みになりました。又、頑張ります」と心情を明かしてくれた。

 この「又、頑張る」は、次回総裁選に挑戦するという意味だけではなかろう。議員票2位、100票超えという結果は、今回、高市陣営に結集した「保守」勢力が今後、自民党内で一定の力を持ち続けるのに十分な数だともいえる。その「保守」の雄として頑張っていくという意味と受け取れた。

 選挙期間中、「友達がいないことが弱点」といわれた高市さんは、総裁選を通じて、貴重な「同志」を得たはずだ。政治において、数こそ力。その力を、「日本のための政策」実現に生かしていただくことを強く望む。

 総裁選後に出された多くのコメントの中で、筆者の心に最も深く残ったのは次の言葉だ。

 「高市候補を通じて自民党のあるべき姿、目指すべき道、そして国家観を示す事が出来たと思います」

 言葉の主は安倍晋三前首相。ツイッターでのこの発信に加え、決戦後の陣営の集会では次のようにも語っている。

 「高市さんと私たちグループの主張は他の候補にも影響を与えることができたんだろうと思います」

 まさにそのとおりだ。高市さんが明確な「国家観」と「富国策」を打ち出し、それを本紙読者やネット上の保守層が強く支持したことで、他の3候補も「女系天皇容認」などという戯言(たわごと)を言えなくなった面がある。候補者全員が「自民党は保守政党だ」といい、中には「自身の考える保守主義」について滔々(とうとう)述べた候補もいたが、筆者はこの言を信用していない。もし高市さんがこの総裁選に出なかったら、保守の「ほ」の字もそっちのけ、皇統は「女系もあり得る」などの暴論飛び交う事態となった可能性もあると思っている。

 「自民党が保守政党なんて嘘っぱち」

 そんな反発の声は近年多い。実際、左派に浸透され、その巧妙な理屈に絡め取られた揚げ句、「多様性を重んじるのが保守」などという軽薄なスローガンで、日本の優れた戸籍制度の破壊につながる動きが自民党内にある。その空気に敏感な安倍氏は、集会でこうも付け加えた。

 「私たちのこの論戦によって離れかかっていた多くの自民党支持者たちがまた自民党のもとに戻ってきてくれたのではないか」

 今回の安倍氏の精力的な高市支援の動きを、「キング(クイーン)メーカーになろうとした」「自身の権力維持のため」と評する人がいるが、これも的外れだ。安倍氏は一貫して自民党と日本への危機感を強く持っている。

 菅義偉前総裁が不出馬を決め、安倍氏が「高市支持」を決めたとの一報が流れた日の夜、筆者との電話で安倍氏は開口一番、次のように言った。

 「女性首相が誕生したら、世界的なニュースになるよ」

 これは単なる広報戦略の話ではない。「選挙の顔」うんぬんの小さな話でもない。中国という独裁国家の台頭によって、国際社会が新たな冷戦構造へと移行しつつあるいま、日本こそが世界の中心に立って自由主義陣営を引っ張らなければいけない-。そんな安倍氏の使命感から出た言葉だ。その危機感、切迫感をまもなく日本国首相に就任する岸田総裁は果たしてどこまで共有しているのか。

 岸田総裁にお願いしたい。まず自民党を保守政党に戻すことからお始めください。政権与党が、自国の国体(=ナショナル・アイデンティティー)への理解すらおぼつかないようでは、世界の中心に立つことなど不可能、独裁国家にも対峙(たいじ)できませんから。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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