ここまで進んだ最新治療

脳に影響を与えずがん細胞だけを死滅 脳のがん、膠芽腫の維持療法「オプチューン」

国立がん研究センター中央病院・脳脊髄腫瘍科の成田善孝科長
国立がん研究センター中央病院・脳脊髄腫瘍科の成田善孝科長

 悪性脳腫瘍(脳のがん)のうち、最も多いのが「神経膠腫(こうしゅ)」。そして、神経膠腫の中で最も悪性度が高く、急速にマヒや言語障害などの症状が現れるのが「膠芽腫(こうがしゅ)」だ。

 膠芽腫の治療は、まず手術でがんを取り除く。しかし、完全に取り切れていない可能性があるので、手術後に放射線治療と「テモゾロミド(TMZ)」という抗がん剤が使われる。ここまでが初期治療で、その後も再発予防のためにTMZなどを服用する維持療法が行われる。

 この維持療法に、「腫瘍治療電場療法」という革新的な治療法が2017年12月に保険適用になっている。適応は、初発の膠芽腫で初期治療が終了した患者(18歳以上)に、TMZの服用と併用して行う。腫瘍治療電場療法は、どんな治療法なのか。国立がん研究センター中央病院・脳脊髄腫瘍科の成田善孝科長が説明する。

 「『オプチューン』というバッテリーで作動する携帯タイプの医療機器を使います。患者さんは治療開始前に頭髪を剃毛(ていもう)して、頭にセラミックの板が付着した粘着性シートを4枚貼ります。そして機器本体のスイッチを入れると、脳内に低強度の電場が発生して、がん細胞を死滅に導くのです」

 「電場」とは、電流や磁気ではなく、電気の周りに帯びている力の場のこと。細胞分裂するためには、細胞が微小管にそって移動する必要がある。オプチューンは2方向から電場をかけることで、分裂細胞の移動を妨げるなどして細胞死に導く。正常な神経細胞はほとんど分裂していないのに対して、がん細胞は盛んに分裂しているので、脳に影響を与えずがん細胞だけを死滅させるという。

 シートを貼る部位は、MRIでがんの部位を測定して決められる。通常、シートは3日に1回くらいの頻度で貼り換える。シートを頭皮にピッタリ貼り付けるために、交換時に伸びた髪を電気シェーバーでそる必要があるという。

 「1日の使用時間(電場の発生時間)は、可能な限り長時間の方がよく、1日18時間以上が推奨されています。そして使用期間は、膠芽腫の維持療法としてはTMZ服用(ただし、1カ月の最初の5日のみ服用)との併用が1年、その後はオプチューンのみの使用がさらに1年ほどになります。副作用は皮膚炎くらいで、重篤な副作用はほとんどありません」

 オプチューンの重さは、本体とバッテリー合わせて約1・2キロ。外出時は、付属のバッグやリュックに入れて持ち運ぶことになる。また、シートを貼った状態で入浴するときは、シートやケーブルが濡れないようにシャワーキャップをかぶる必要がある。これまでのオプチューンの使用者は全国で700人以上いるという。 (新井貴)

zakzak

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