経営者目線

菅首相は飲食業界を必死に考えていた ワタミ創業から唯一続けていること

阿達首相補佐官(右)とニッポン放送で対談した(提供写真)
阿達首相補佐官(右)とニッポン放送で対談した(提供写真)

 菅義偉政権がまもなく退陣する。最後は支持率の低迷と批判ばかりが目についたが、皮肉なことに今になって、コロナの感染者数は激減してきている。

 ニッポン放送の番組で、首相補佐官の阿達雅志参院議員と対談した。参院議員時代の同期同僚で、商社マン出身だけあり「ビジネスの視点が分かる」数少ない政治家で期待している。退陣については「一言で残念」と語っていた。

 私から見ても、菅政権の12カ月間で「不妊治療の保険適用」「デジタル庁創設」「オンライン診療22年度解禁決定」「クアッド(日米豪印戦略対話)を閣僚級から首脳級に格上げ」「最低賃金の引き上げ額過去最高」など目ぼしい成果がある。

 批判された発信力について、阿達さんは「黙って仕事をしていればいつか理解してもらえる」そうした首相の性格的な一面をあげた。官房長官当時から迅速なコロナ対応やワクチン接種に向けて取り組んできたが、民間主体の医療機関が多く、保健所の設置主体が自治体だったことで、国主導で動けなかった構造的課題もあったという。ワクチン遅れを指摘された中でも、接種計画も当初より前倒しになり「今の時点で1億5000万回で、接種率は米国を抜いたのは菅政権の功績だ」と阿達さんはいう。

 しかし、ワクチン接種が進んでも支持率が回復しなかったことは、想定外だったと語った。やはり五輪開催中の感染者数の爆発は大きく影響した。緊急事態宣言と五輪の両立は、理解が難しかったと感じる。「たられば」に意味はないが、私は昨年の首相就任直後に解散総選挙を行い「五輪を開催するか」国民に審判を仰いでいたら、菅政権の運命は今と変わっていたと思う。

 今だから明かすがコロナ禍、菅首相と電話でやりとりをすることがあった。多忙な首相に気を使い私が話を終わらせようとすると、「まだいいですか」と首相は話を続け、飲食業界の実情や、有効な救済策に耳を傾けてくださった。そこには飲食業界の「雇用を守ろう」という曇りなき決意を感じた。実際、前例主義を打破しスピード感を持って実行してくださった政策もある。

 そうした首相の思いや功績を知る人はいない。菅首相の「男は黙って仕事する」そんな性格に私も魅力を感じる一人だ。

 一方で、一般的なリーダー論としてやはり「語る必要性」も感じる。私は毎月、社員に向けて自筆の社内報やビデオレターを発信している。トップの言葉でないと、大切なことは伝わらないと思う「危機感」からだ。ワタミ1号店から自分の本音を、自分の言葉で語ることだけは続けている。とくに重要なことは「理念」と「未来を語る」ことだ。

 東京都の小池百合子知事に代表される劇場型の政治家のアンチ対極が、菅首相だったのかもしれない。しかし、劇場型でなくとも「拍手」はしっかりと送りたい。(ワタミ代表取締役会長 兼グループCEO・渡邉美樹)

zakzak

  1. 「いちゃもん、うっとうしい」吉村知事が枝野氏を痛烈批判

  2. 【衆院選2021年秋】与野党“落選危機リスト”大物・著名候補28人 東京18区・菅直人氏が大接戦 大阪は三つどもえ 岩手3区・小沢一郎氏は高齢も意気軒昂

  3. 1年間に売れた韓国車は1台!?日本車シェアほぼ100% 知られざる親日国パキスタンの素顔

  4. 小泉進次郎氏「妻に申し訳ない」 クリステルさん名義の巨額資産公開で

  5. 「枝野さん、議論しろよ」 安倍前首相が憲法シンポで改憲議論呼びかけ