イチローが日本人観変え 大谷がメジャー史を変えた 鹿間孝一

産経ニュース
マリナーズ戦に先発したエンゼルス・大谷。6回には中前打を放った=27日、アナハイム(共同)
マリナーズ戦に先発したエンゼルス・大谷。6回には中前打を放った=27日、アナハイム(共同)

イチロー選手の現役時代に「日本観変えた最高の輸出品」という原稿を書いた。

2001年に大リーグに移籍するや、いきなり首位打者を獲得し、新人王とMVPに輝いた。以降、シーズン最多安打を塗り替え、メジャーで3089安打、日米通算では4367安打など数々の記録を達成した。引退から5年という資格が得られれば、すぐにも米国野球殿堂入りが確実視されている。

それまで日本の野球と大リーグのベースボールは、似て非なるものとされた。1987年にヤクルトでプレーしたボブ・ホーナー選手が「地球の裏側にもうひとつの野球(ベースボール)があった」と批判的に語ったのは有名である。選手の個性を殺す管理野球や、長すぎる練習時間などが気に食わなかったようで、わずか1年で帰国してしまった。

かつて「メード・イン・ジャパン」は、安くて高性能、高品質でも、オリジナリティーがないとされて、米国での評価は低かった。日本人も「顔のない組織人間」が多く、ずば抜けたスターは出てこないと思われていた。

それをイチロー選手が変えた。大柄な大リーガーに交じると華奢に見えるが、打撃、守備、走塁の三拍子そろって、サムライか忍者のように魅力的だった。ただし、米国のファンは「ヒットは量産してもホームランは少ない」と強調してプライドを保った。

入れ替わるように大谷翔平選手が日本からやってきた。今度はホームランバッターで、しかも160キロ超の剛球投手でもある。分業化し、スペシャリストが求められる時代に、異例の二刀流がメジャーで通用するか注目された。

「野球漫画から抜け出したような」ヒーローの活躍は想像を超えていた。ベーブ・ルース(1895~1948年)以来103年ぶりという2桁勝利、2桁本塁打を達成するかが話題になったが、「野球の神様」と比較されること自体が破格である。ホームラン王のタイトル争いも目が離せない。

東京五輪・パラリンピックがあったし、ゴルフの松山英樹選手のマスターズ優勝も見事だったが、今年のスポーツ界のMVPは大谷選手で間違いない。

2012年の選抜高校野球で、花巻東の大谷選手が大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手(現阪神)から打ったホームランが目に焼きついている。二刀流の伝説の始まりをナマで見たのが、筆者のプチ自慢である。

しかま・こういち 昭和26年生まれ。社会部遊軍記者が長く、社会部長、編集長、日本工業新聞社専務などを歴任。特別記者兼論説委員として8年7カ月にわたって夕刊1面コラム「湊町365」(産経ニュースでは「浪速風」)を執筆した。

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