宣言解除でも、飲食店から聞こえる再開への不安

産経ニュース
30日の期限で緊急事態宣言を解除することを伝える菅義偉首相の会見を映す街頭ビジョン=28日午後、東京都新宿区(三尾郁恵撮影)
30日の期限で緊急事態宣言を解除することを伝える菅義偉首相の会見を映す街頭ビジョン=28日午後、東京都新宿区(三尾郁恵撮影)

新型コロナウイルスの感染対策で、19都道府県に発令中の緊急事態宣言と8県に適用中の蔓延(まんえん)防止等重点措置が解除され、1日から飲食店で酒類などの提供が可能となる。居酒屋などは今年に入ってからほとんど営業できていない店舗も多く、待望の再開となる。ただ、営業時間の制約は残ったままで、感染再拡大の懸念も付きまとうため、もろ手を挙げて喜べない現実もある。

「一気に再開すると、再び感染が拡大したときのリスクが大きい」。居酒屋チェーン「土佐清水ワールド」を展開するワールド・ワンの河野圭一社長はそう語る。同社では現在、20店舗が休業中だが、10月1日から営業を再開するのは関西地方を中心に全体の3分の2程度に抑える考えだ。

飲食店が営業を再開するにあたっては従業員の確保や、店舗の清掃、仕入れの調整など、膨大な準備が必要となる。「昨年、一時的に再開した際は感染拡大ですぐに休業となり大変だった」といい、残りの店舗は、感染の動向や来客状況を見ながら再開時期を判断していくという。

営業時間の制限が残ることも悩みの種だ。政府は感染対策が取られていると自治体が認証した飲食店に対しては営業時間を午後9時まで、それ以外は午後8時まで営業が可能とした。

居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーホールディングスの担当者は「条件によっては開店しても赤字になり、悩ましい」と吐露。各店舗の営業は、自治体の要請内容や時短営業に伴い支給される協力金を踏まえて判断する方針だ。うどん店などを展開するグルメ杵屋も「緊急事態宣言の解除で多少、売り上げは回復するだろうが、(時短要請が残ったままの)部分的な制限緩和では当面、売り上げへの効果は限定的だろう」と話す。

飲食店の感染対策に自治体がお墨付きを与える「認証制度」も統一されておらず、大手居酒屋チェーンの担当者は「地域ごとに対応を変えなければならない」と困惑。申請から認証まで数週間かかる自治体もあるという。

今後はワクチンの接種済証や検査の陰性証明を用い、感染対策と経済活動の両立に向けた行動制限緩和の実証実験も始まる予定だが、現場からは「陰性証明を確認するための人員が別途必要」「店内を区分けする負担が生じる」などといった声も上がっている。

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