HPVワクチンに女性も男性も注目せよ

子宮頸がん検診率も日本は世界最低レベル 性交渉経験女性の内80%が一生に1度はHPV感染

 新型コロナウイルスのワクチン接種で、たびたび副反応が話題になっている。HPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチンでは、重篤な副反応が接種1万人あたり約5人といわれる。人は低い確率を過大評価し、高い確率に疑念を抱くことから、しばしばワクチン接種が問題になってきた。

 女性医療の専門医、関口由紀氏は副反応についてこう話す。

 「100%安全でない限りリスクを考えるのは当然かもしれませんが、メリットにも目を向けて判断すべきです。慢性疼痛症の患者さんを多数診察していますが、ワクチンなどで免疫が少し動いたり、接種部位の痛みが長引いたりすると、痛み症状が悪化するので関連性はあるとみています」

 思春期の女性ならではの副反応もあるという。

 「公費接種の小学校6年生から高校1年生の時期は、初潮から数年の性ホルモンによるメンタルへの影響が大きく、重い月経痛やめまい、抑うつなどが起きやすい。月経前症候群の症状が強い人は、無理に接種せず、経済的に余裕があれば、月経周期が安定する18歳以降でもいいと考えます」

 なお、HPVワクチン接種の有無にかかわらず性交渉がはじまったら、「その3年以内には子宮頸がん検診を受けはじめてください」と関口氏。だが、残念ながら日本の検診率はワクチンと同様に際立って低い。

 その理由は、内閣府の世論調査(2014年度)によると、1位「受ける時間がない」48・0%、2位「経済的にも負担になる」38・9%、3位「がんであると分かるのが怖い」37・7%、4位「健康状態に自信があり必要性を感じない」(33・1%)など。

 初期の子宮頸がんはほぼ無症状で、検査が後回しにされがちだが手遅れになる前の検査が重要。ワクチン接種の有無にかかわらず全ての年代で2年に1回は検診を受けることが推奨されている。

 HPVウイルスは性交渉経験のある女性なら80%が一生に1度は感染し、90%は自然治癒するとされる。しかし、感染が持続した場合には、子宮頸がんに至るリスクが生じる。感染から上皮内がんに至るまでが1~5年以上、浸潤がんになるまでは10年以上で、軽度→中度→高度へと異形成は進行する。上皮内がんであれば子宮頸部の一部を切除する手術で妊孕性(にんようせい)の温存が可能だが、浸潤がんにまで進行すると生殖機能が奪われる。子宮頸がん発生のピークが30代であることを考えると、予防・早期発見・早期治療が妊孕性温存の鍵になる。

 子宮頸がん検査方法は「細胞診」と「HPV検査」の2種類。細胞診は子宮頸部から取った検体を染色し、細胞を顕微鏡で見る。これは子宮頸部異形成の発見に有効(感度70・3%、特異度97・7%)。HPV検査は検体からがんを発症しやすい13種のHPVを検出する方法。こちらは、細胞診と比べて非常に高い感度をもっている。

 2007年に世界で初めて子宮頸がんワクチンを定期接種に組み込んだオーストラリアでは、同年12月から検診プログラムが、日本と同じ2年ごとの細胞診から、5年ごとのHPV検査へと大幅に変更されている。HPV検査は早い段階で感染を発見する感度の高さゆえに、陰性であればその後数年の安全は確保される。一方、何の病変がない人までが陽性に含まれるデメリットもある。

 これはコロナ陽性の無症状者と同じ。医療費、医療資源がかさむだけでなく、陽性診断を受けた人の精神的ショックも大きいことが課題となっている。 (熊本美加)

 ■関口由紀(せきぐち・ゆき) 女性泌尿器科専門医。経営学修士(MBA)。NPO法人女性医療ネットワーク理事、一般社団法人日本フェムテック協会理事。「女性の身体は、全身的に診ていく必要がある」と、婦人科、女性泌尿器科、内科、漢方内科、乳腺科、皮膚科、美容皮膚科、などをそろえた女性医療クリニックLUNAグループを主宰。「自分の体は、自分で守る」の理念のもと女性の生き方をYouTube「るなクリニックch」で配信中(「るなクリニック」で検索)。

zakzak

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