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食生活の見直しだけで肝炎の線維化が治る 食べ過ぎで非アルコール性脂肪肝炎リスク

慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)・中本伸宏准教授
慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)・中本伸宏准教授

 コロナ自粛で“宅飲み”、つい食べ過ぎて飲み過ぎて…。その結果として、肝臓の細胞に中性脂肪がたまる非アルコール性脂肪肝の危険が迫る。非アルコール性とは、原因がアルコール以外の脂肪肝を指す。これを放置すると、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へ移行し、肝硬変や肝がんのリスクが高くなるといわれる。しかも、肝炎で線維化して硬くなった肝臓の組織は元に戻らないといわれてきた。

 ところが、慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)の中本伸宏准教授らの研究チームが、今年7月、「非アルコール性脂肪肝炎の肝線維化病態から回復するメカニズムを解明」という研究論文を発表した。つまり、肝細胞の線維化が進んでも、治る可能性がある。

 「臨床現場では、C型肝炎の患者さんが、薬による治療でウイルスを排除した後、線維化した肝臓が修復されることがわかってきました。『治らない』といわれた常識は覆されつつあるのです」

 中本准教授らは、食べ過ぎで生じたNASHからの回復のメカニズムを、マウスによる研究で明らかにした。そのカギを握るのが、免疫のキラーT細胞の一種「CD8T細胞」(細胞傷害性T細胞)である。

 「脂肪肝は肝細胞に過剰に中性脂肪がたまった状態です。NASHでは、中性脂肪がたまった細胞をCD8T細胞が攻撃した結果、線維化が進みます。ところが、線維化した組織が元に戻る段階でも、CD8T細胞が働いていたのです」

 肝炎の線維化に関わるのが肝星細胞。この悪玉が増殖することで線維化が進んでしまう。薬で肝星細胞を封じ込めることは難しく、肝炎→肝細胞の線維化促進→肝硬変・肝がんへとつながっていた。今回の研究では、線維化から回復する段階で、CD8T細胞が肝星細胞を攻撃して排除することが新たにわかった。

 「CD8T細胞は、悪玉の肝星細胞を呼び寄せるケモカイン(タンパク質の一種)を非常に多く産生していました。呼び寄せた肝星細胞を細胞死へと導くことで、線維化を回復させていたのです」

 NASHにおいてCD8T細胞が肝星細胞を排除するには、食生活を見直すだけでよいという。今回のマウスの研究では、高脂肪高コレステロール食によりNASHになったが、通常食に切り替えただけで回復したというのだ。

 「NASHの患者さんのCD8T細胞が実際どうなのかは、今後の研究課題となります。しかし、食事の見直しで変化する肝臓の免疫環境を詳しく調べることにより、NASH線維化修復機序を解明できる可能性があると思っています」

 とはいえ、食べ過ぎ飲み過ぎは、やはりよくない。健康診断の肝機能検査で異常値が出たときにも、放置しないように。(安達純子)

 ■非アルコール性脂肪肝 主に食べ過ぎにより余分な中性脂肪が肝細胞に蓄積した病態。肝臓内に過剰に沈着した中性脂肪に加え、免疫の攻撃によって炎症が起こり続けた病態が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)である。免疫細胞から産生されたサイトカインやケモカインにより肝星細胞が増殖、活性化し、肝臓を硬くする肝線維化を促すようになる。肝線維化が進むと肝機能が著しく低下し肝硬変に。肝がんのリスクも上がる。

zakzak

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