「高層階で炊く米はまずい」見栄と格差の“タワマン文学”が映す時代

SankeiBiz

誤解のもとは富士山にあり?

インターネットの一部で広がった「タワマン高層階のご飯はまずい説」だが、住友不動産の広報担当者は「初めて聞いた話です」と首をかしげる。少なくとも高層階への入居を検討する人たちにとって重要な関心事ではないのかもしれない。

富士山の山頂付近では沸点が90度を下回るので、ご飯粒に芯が残るなどして美味しく炊けないという登山の豆知識と結びつける向きもあるが、標高3776メートルを引き合いに普段の生活環境を語るのはさすがに無理がある。ほとんどの場合、あくまで冗談として「高層階のご飯はまずい説」が拡散されているようだ。

一昨年の台風19号により浸水被害を受けたタワーマンション。1階には土嚢が積まれていた=2019年10月、川崎市中原区(寺河内美奈撮影)
一昨年の台風19号により浸水被害を受けたタワーマンション。1階には土嚢が積まれていた=2019年10月、川崎市中原区(寺河内美奈撮影)

もともとSNSやインターネット掲示板には、タワーマンションの水害時のトラブルや「マンションポエム」などと呼ばれる詩的な宣伝文句を面白おかしく取り上げる風潮があった。世間的な“勝ち組”である住民らの光と影を覗きたい欲求と、かすかな優越感を満たしてくれるタワマン文学が生まれる素地が整っていたともいえる。

米の炊きあがりのほか、子供の高額な塾代、買い物をする店のランクもタワマン文学で人気のテーマだ。創作であれば楽しく読めるタワマン文学だが、格差拡大と社会的な断絶、生まれた境遇で子供の人生が決まるとする「親ガチャ」がトレンドワードになる時代を映し出しているようで、少し恐ろしくもある。

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