前国家安全保障局長が語るインテリジェンスの極意

産経ニュース
インテリジェンスと安全保障について語る前国家安全保障局長の北村滋氏(佐藤徳昭撮影)
インテリジェンスと安全保障について語る前国家安全保障局長の北村滋氏(佐藤徳昭撮影)

旧民主党の野田佳彦政権から、自民党で憲政史上最長の安倍晋三政権、菅義偉(すがよしひで)政権まで約9年半にわたり、政府の情報活動を統括する内閣情報官、外交・安全保障の司令塔である国家安全保障局長として歴代内閣を支えた北村滋氏(64)が、退官後初の著書となる『情報と国家』(中央公論新社)を刊行した。警察では主にスパイ活動、国際テロリズム、大量破壊兵器の拡散を取り締まる外事畑を歩み、情報のプロとして活躍した北村氏。憲法で国際紛争解決のための武力行使を否定する日本だからこそ、的確なインテリジェンスに基づく総合的安全保障政策の構築の重要性を説く。(聞き手・森本昌彦)

インテリジェンスは、さまざまな定義はあるかもしれませんが、人的、技術的な手段によって収集された開示されていない情報またはそれに基づく分析というのが一般的な認識でしょう。現在は、インターネットなどを通じてオープンソースの情報があふれており、情報分析は秘密情報だけでは構成され得ません。公開情報と秘密情報を上手に使いながら、なるべく正確な情勢分析を政策決定者に伝えていくというのがインテリジェンス・オフィサーの重要な役割です。公開されている情報は、故意にゆがめられていることもありますから、何が真実なのかを見極めることが極めて重要なのです。

『情報と国家』北村滋著(中央公論新社)
『情報と国家』北村滋著(中央公論新社)

わが国がこれまでにインテリジェンスを活用して最も成功したケースは、日露戦争のときの明石元二郎の対ロ工作であるといわれています。革命勢力につながってロシアの政権を不安定化したとも伝えられています。

その逆のケースは、昭和16年に日本で諜報活動を行っていたソ連のスパイと日本人協力者らが逮捕された「ゾルゲ事件」でしょう。警察当局は容疑者を摘発こそしましたが、そのときにはすでに日本軍の南進政策がスターリンに伝えられていました。ソ連は当時、ドイツと戦争状態にあったため、極東における日本軍の動向を注視し、その方針を知ることは死活的に重要でした。事件摘発としては成功しましたが、防諜活動としては大失敗であったといわれています。こうした歴史をひもとくまでもなく、外事事件では、どのタイミングで事件をどう摘発するかが重要です。

特定秘密保護法の重要性

私は平成23年12月に内閣情報官となり、令和元年9月からは国家安全保障局長として、安全保障政策に深く関わってきました。その間、インテリジェンスをめぐる政策として重要だったのは、平成26年から施行された特定秘密保護法です。

情報活動は、「ギブ・アンド・テーク」といわれます。カウンターパートに情報を提供して、それが漏洩(ろうえい)しては元も子もないですよね。わが国では、特定秘密保護法が制定されるまで、安全保障上機微なイージス艦のマニュアルが流出したり、画像情報が新聞に掲載されたりすることがありました。情報保全体制を同盟国である米国やその他のG7各国と同程度にすることが必要不可欠でした。多くの反対はありましたが、特定秘密保護法制定後、深刻な情報漏洩は起きていません。

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