HPVワクチンに女性も男性も注目せよ

女子も男子も性交渉開始前に接種を 国民の80%以上ができればHPV由来のガンは撲滅可能

HPVワクチンの「ガーダシル」
HPVワクチンの「ガーダシル」

 HPV(ヒトパピローマウイルス)は性交渉が原因で感染することがほとんどである。粘膜に感染すると何十年も細胞の中で生きているために、子宮頸がん以外にも、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど男女を問わずさまざまながんの原因になる。

 現在、日本の女性定期接種のHPVワクチンは次の2種類。2価ワクチン「サーバリックス」=HPV16型、18型の2種類を予防。4価ワクチン「ガーダシル」=HPV6型、11型、16型、18型の4種類を予防。

 これらに加えて、昨年7月に「シルガート9」の製造販売が日本でも承認され、今年2月に発売された。これはHPV6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型の9種類を網羅し、HPVウイルスが原因となるがんの約9割を予防できるといわれる。

 「海外では経済的に余裕がある家庭で男子が性活動の年齢になる前にシルガート9を接種させるのが常識化しつつあります。ウイルスに感染してパートナーへうつさないため、自身が尖圭コンジロームや咽頭がん、喉頭がん、食道がん、陰茎がんにならないためです」と話すのは泌尿器科専門医の関口由紀氏。

 男性の咽頭がんは近年増え、アメリカではHPVが原因となるがんのうち、男性に多い中咽頭がんが、女性の子宮頸がんより多いという報告もある。海外では、女性だけでなく男性へのHPVワクチン接種も政府が推奨するようになっている。

 「日本では保険適用がないため、シルガート9は3回接種で約9万円と高額ですが、ワクチン接種で得られる抗体は自然感染で得られる数倍で9~10年維持できるといわれます。社会的に病気を広げないため、生活の質をあげる意味でもメリットが大きいです」

 関口氏は、男子への接種も勧める。

 「もし、ご主人が出世している、金儲けがうまい、飲む・打つ・買うが好きというタイプなら、男性ホルモン=テストステロン値が高いと想像できます。父親の遺伝子を受けついだ男子はテストステロン値が高めで、セクシャル・アクティビティが活発になる可能性が高いので、10歳より前にHPVワクチン接種をするのが安全でしょう」

 なお、2021年時点では、日本で男子に投与可能なのは個人輸入のガーダシル9のみ。女子の2価・4価のワクチンも12~16歳の期間を外れると費用がかかる。対象外になった場合は何歳まで接種すべきなのか。

 「私のクリニックでHPV感染率を調べたところ、感染率は40代以下が高率で40代以上はほとんどいませんでした。若い人が不特定多数と性交渉する機会が多いからではなく、40歳以上の場合、感染してもほぼ自力で治癒し抗体を持っていたからです。ただ、HPVに限らず、1度抗体を獲得しても免疫は一生ものではありません。加齢や強いストレスで免疫力が落ちると、2回目や3回目の感染が起きることがあります」

 人生100年といわれる長寿時代である。

 「免疫力が弱まってきた60代以降に恋に落ち、パートナーからHPVウイルスに感染した場合、80、90歳まで生きて、HPV持続感染が関与するがんになるリスクはゼロではない。ご本人が希望すれば50歳くらいまでワクチン接種はできます」

 もし男女ともに国民の80%以上がHPVワクチンを接種できれば、HPVによって起こるがんは撲滅できるという研究報告もある。 (熊本美加)

 ■関口由紀(せきぐち・ゆき) 女性泌尿器科専門医。経営学修士(MBA)。NPO法人女性医療ネットワーク理事、一般社団法人日本フェムテック協会理事。「女性の身体は、全身的に診ていく必要がある」と、婦人科、女性泌尿器科、内科、漢方内科、乳腺科、皮膚科、美容皮膚科、などをそろえた女性医療クリニックLUNAグループを主宰。「自分の体は、自分で守る」の理念のもと女性の生き方をYouTube「るなクリニックch」で配信中(「るなクリニック」で検索)。

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