シンガー・ソングライター、長渕剛(65)が12月にコロナ禍で初となるライブツアーを開催することが21日、分かった。有観客ライブは2年ぶりで、タイトルは「再生」を意味する「REBORN」。近年は配信ライブを行ってきたが、鹿児島への帰郷などで刺激を受けて「前に進むべき」と開催を決断。観客の声出しはNGも、「叫ぶだけが連帯でない」と新たなライブ空間の創造に挑み、「REBORN」がテーマの新曲も披露する。
■大きな一歩!!新時代へ「REBORN」 時には優しく、時には力強い歌声でファンと歩んできた長渕が、初となるコロナ禍でのライブツアー開催を決断した。
本紙などのインタビューに応じ、「今までは『ルールなんかぶち壊せ!』って叫んできましたが…」とユーモアを交えつつ、「ルールの中で十分なエンターテインメントを作り、新しい扉を開きたい」とカリスマとしての使命感を燃やした。
ツアーは12月3日の神奈川・よこすか芸術劇場から始まり、関東の1都3県で開催。有観客ライブは2019年12月以来で、「いつでもやりたい気持ち」を持ちつつ、タイミングを探っていたが、鹿児島に帰郷して決意。今月13日、自身が通った幼稚園を訪問し、園舎の壁にヒマワリの絵を描くなどして喜んでくれた園児の姿を見たとき、「あの天真爛漫の笑顔はコロナだろうが何だろうが関係ない。大人もすべてを受け入れるべきだと思った」と実感した。
続けて「父が亡くなる前に『苦しいときほど冗談を言うんだよ』と話したことも思い出して。苦しいときこそ一歩目だと…」と、コロナ禍を嘆かず、「前に進むべき」と奮い立った。
ツアー名は再生を意味する「REBORN」。コロナ禍で不安定な社会でも「『右向け右』の考えではなく、まずは個人としての在り方を見つめ直して再生していく」との思いを込めた。
現在はセットリストの選定中で、制作に着手した「REBORN」がテーマの新曲も披露予定。歌唱スタイルは真骨頂のアコースティックギターの弾き語りとなる。
2015年には静岡・富士山麓のオールナイトライブで約10万人を動員し、ファンはこぶしを突き上げて合唱するなどして熱狂。しかし、今回はこぶしの突き上げはOKでも、感染拡大防止で観客の声出しはNGだ。
〝初体験〟のスタイルとなるが、「ともに叫ぶだけが連帯ではないし、黙って泣くこともできる。同じ物事を共有して一体化するファンとの関係性は時代を超える」と期待。1978年の「巡恋歌」で本格デビュー以降、数々の名曲で音楽界を牽引してきた長渕流で〝苦境〟を突破する。
★五輪から刺激!!生涯燃焼して生きるべき 長渕は東京五輪・パラリンピックについても言及した。パラのパワーリフティング男子49キロ級で9位の三浦浩(56)は、過去に公演スタッフとして長渕らアーティストを支えた存在。長渕はテレビ観戦したことを明かし、「どの選手も戦う姿は、どんな時代でも、どんな環境でも、とても正しく映る。生涯燃焼して生きるべきだと再認識した」と刺激を受けていた。