「朝のパンは体に悪い」と警鐘を鳴らす消化管専門医に理由を聞いた

ポストセブン
「朝のパン」は体にどんな影響が?(イメージ)
「朝のパン」は体にどんな影響が?(イメージ)

〈朝食はパンと決めている方へ 胃腸の不調はそれです〉〈体にとって最悪の選択です〉。自身のブログにこんな内容の記事を掲載した医師がいる。消化管の専門医として長年、消化管外科手術や内視鏡検査、内視鏡手術に携わってきた、みらい胃・大腸内視鏡クリニックの福島正嗣院長だ。

「胃腸の不調の原因の多くは、小麦と言ってもいいと考えています。とくに『朝のパン』は体に悪い。

第一の理由は、パンは消化が悪い食べ物だからです。胃液の主な成分はタンパク分解酵素。意外に思われるかもしれませんが、肉や魚などのタンパク質に比べて、炭水化物であるパンのほうが分解・消化されにくいということを臨床経験のなかで私は実感しています。炭水化物の消化には5時間から10時間かかるとされています。

実際に、激しい胃痛を訴える患者さんが『5時間前に寿司を食べた』というので寄生虫のアニサキスによる食中毒を疑って内視鏡検査を行なったところ、胃の中の寿司ネタはすべて消化されていて、見事にシャリだけが残っていました。

パンも同じで、カツサンドやフルーツサンドを食べた場合、カツやフルーツは消化され、パンだけが残った状態になっています」(福島氏)

◆作業の効率が下がる

同じ炭水化物ではあるが、米よりもパンのほうが悪影響が懸念されると福島氏は話す。

「米とパンの大きな違いは、グルテンを含んでいるかどうかです。グルテンを含んでいる分、パンは消化が悪く、胃への負担が大きい」

グルテンとは、小麦粉に水を加えてこねた時に、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2つのタンパク質が絡み合ってできるもの。パンのもちもち感や粘り気はグルテンによるもので、こねればこねるほどグルテンが増えていく。もちもちふわふわの食パンは、それだけグルテンが多いということだ。

さらに福島氏は、パンが「血糖値を上げすぎる」ことも問題だと話す。

「朝にパンを食べると、血糖値が150~200(mg/dl)ぐらいにまで上がります。上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されますが、この時に眠気が生じて、作業効率や学習に支障が生じてしまう。さらにその後、『血糖値が下がった』という情報が脳に伝達され、脳はもう一度血糖値を上げるような食材を欲するようになる。

とくに小麦の場合、消化されるとエクソルフィンというモルヒネに似た構造式の成分が生成され、脳のモルヒネ受容体と結合することで依存性が生じると考えられています。つまり、小麦の摂取がやめられなくなってしまうのです」(同前)

福島氏は、“朝のパン”が引き金となって、小麦に依存する食生活となってしまうことを懸念する。

「朝にパンを食べると、昼も夜もパスタやうどんを欲するようになる。糖質が糖質を呼ぶ“糖質過多”のサイクルに入ってしまうんです。しかも、小麦は食欲を増進させる食材で、胃の満腹中枢が麻痺していくため、どんどん食べることができてしまう」(同前)

◆胃の不調がなくなった

福島氏は「朝のパン」による血糖値の上昇や糖質過多が、さまざまな悪影響を及ぼすと指摘する。

「血糖値が上がった時に分泌されるインスリンの量が過剰だと、肥満を招くだけでなく血管を狭くしてしまう。そのため心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気を起こしやすい。インスリンの働きが悪くなればII型糖尿病になります。

さらにその影響は脳にも及び、血糖値の乱高下を繰り返すことで、イライラしやすくなり、鬱のリスクが高まると指摘されています」(同前)

福島氏自身も以前はこの悪循環に陥っていたという。

「私はいま52歳ですが、45歳まで外科医をしていました。食事の時間がないうえ生活が不規則だったため、手軽だからと週3回はラーメンを食べていた。40歳までそんな生活を続けていましたが、完全な小麦中毒ですね。肥満で膝が痛くなるほどで、中性脂肪も150(mg/dl)あり、メタボ一直線でした」(同前)

そこで福島氏が実践したのが、炭水化物を断つことだった。

「最初は夜に一切糖質を摂らないようにし、豚のソテーとキャベツを2週間毎日食べました。昼は食堂でラーメンの麺なしを提供してもらい、麺は食べずにスープと具材だけを食べていました。肉だけを食べていると、最初は低血糖になって脂汗をかき、慌ててパンを少し食べたりしましたが、しだいに体が順応してきて、肉だけでも血糖値が安定するようになった。

これを2か月続けると、10kg痩せ、中性脂肪も20にまで一気に落ちました。毎日肉を2枚も3枚も食べ、焼く時には油を使い、オリーブオイルなども摂っていましたが、自分でも信じられないほどの減量効果でしたね」(福島氏)

福島氏は子供の頃から「朝食はしっかり食べなさい。食べないと頭が回らない」と言われて育ったそうだが、そうした経験のある人は多いだろう。

「以前は“脳は糖分しか栄養にできない”というのが常識でした。しかしいまではケトン体という、脂肪を分解してできる物質も脳を動かしてくれることがわかってきた。むしろ空腹な状態を保ち、ケトン体をエネルギーとして脳を動かすほうが、集中力が切れず、クリエイティブな仕事ができると考えられます」(同前)

福島氏は胃の不調を訴える患者にも炭水化物抜きの食事をすすめているという。

「朝はパンをやめてベーコンと卵だけにする。最初の2~3日は空腹との戦いですが、私はゴマ油をかけたり、野菜にオリーブオイルをたっぷりかけて食べたりして空腹を紛らわせました。2週間実践すれば、胃の不調が消え、効果が実感できると思います」(同前)

※週刊ポスト2021年10月1日号

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