HPVワクチンに女性も男性も注目せよ

男性のウイルスはペニスに長期存続 感染したらパートナーも検査を

北村唯一医師
北村唯一医師

 子宮頸(けい)がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)には、有効なワクチンがある。にもかかわらず、副反応を強調した報道で日本での定着が遅れてきたことを前回、指摘した。

 HPVとひとくちに言っても、現在確認されているだけでも実に300種類以上の異なる型がある。HPV感染はとてもありふれたもので、性交渉を経験した男女の80%以上が生涯に一度は感染するといわれている。

 良性では性器周辺にイボができる尖圭(せんけい)コンジローマが知られているが、悪性となると、女性の子宮頸がんだけでなく、肛門がん、腟がん、外陰がん、咽頭がん、陰茎がんなどの原因となる。まさに男性にとっても脅威なのだ。

 性行為によって感染するHPVは他の性感染症と同様に、腟への挿入がない性行為だからと安心はできない。オーラルセックスでウイルスが口腔咽頭内部へ、アナルセックスでは肛門や直腸内へ感染するリスクがある。

 尖圭コンジローマは、HPV6型、11型、42型などに感染すると、男女ともに性器周辺や肛門まわりの皮膚や粘膜に表面がトゲトゲしたイボが出現する。はじめはとても小さくて、形はカリフラワーのようだったり、時にニワトリのとさかのようだったり。痛みがない上、見つけにくい部分に潜み、陰毛にも隠れ上手で、ドクターでさえ初期症状は見過ごさないよう入念に診察するという。

 しかも、ウイルスに感染して、実際にイボが目視で確認できるまでは3週間から8カ月と個人差があるため、心あたりがあってすぐ検査しても症状を確認できないと治療は先延ばしになる。

 もし症状が出てから放置しても、約3割の人は自然治癒するが、残る7割はイボが増大し、時には悪臭も。何より無自覚に、パートナーへ感染させる危険が生じる。治療はイボの切除、レーザー治療、薬の塗布などだが再発率は30%以上。イボの消失後1年以上は要注意で、性交時のコンドーム着用は必須となる。

 男性のHPVウイルスを長年研究している泌尿器科専門医、北村唯一氏が実施した「性の健康医学財団の研究プロジェクト」(2011年9月~14年12月)を見てみよう。泌尿器科男性患者における亀頭HPVの年齢別検出率は、751例のうち平均検出率が25%。そのHPV陽性者の中で20歳以上で高リスクの52型が28・5%、51型11・5%、16型10%、18型8%。あらゆる年代で高リスク型HPVが検出されており、高齢者も感染源になりうるという。

 「財団研究では、男性患者31人(初診時29~86歳・平均年齢65・5±16・1歳)の亀頭HPVを10年間以上にわたり経過観察しています。その結果、亀頭HPVは長期存続し、約3分の2の患者はHPVの再活性化により亀頭上皮から常にHPVが排泄され、残る3分の1は断続的にHPVが排泄されていることが明らかになりました」と北村氏。その上で、「男性の亀頭HPVは、長期に存続する可能性が極めて高いです。男性のHPV感染の予防にはペニスの亀頭部を清潔にすることは大切ですが、ただ洗うだけでは限界があり、理想はHPVワクチンの接種だと考えます」と話す。

 ある程度のHPVは個人の免疫力機能により排除されるものの、加齢やストレスで免疫力が下がると感染のリスクは高まる。もし、イボに気づいたら、すぐに検査・治療を。そして自分が感染していたらパートナーにも検査を促してほしい。 (熊本美加)

 ■北村唯一(きたむら・ただいち) 医師。東大名誉教授。1973年、東京大学医学部卒業。公益財団法人性の健康医学財団理事長。医療法人社団自靖会親水クリニック院長。天皇陛下(現・上皇さま)の前立腺がん主治医を担当した。

zakzak

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