【ワシントン=塩原永久】米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は21、22日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)流行が景気に及ぼす影響を見極めながら、年内実施を表明した量的金融緩和策の縮小時期を慎重に判断する。改善の勢いが鈍化した雇用情勢をどう分析するかも焦点だ。
22日午後(日本時間23日未明)の会合終了後、パウエル議長が記者会見し、決定内容を説明する。
コロナ危機を受けて昨年春に導入した量的緩和について、FRBは景気回復が順調なら年内に縮小に着手する方針だ。
ただ、8月の新規就業者数が大きく失速。全米12地区の連邦準備銀行の景況報告は、経済成長が「わずかに鈍化した」と景気判断を引き下げた。景気過熱を反映した物価の急伸は一服しており、早めに金融引き締めに乗り出し、対処しなければならなくなる切迫感は薄れた。
一方、FOMC参加者からは緩和縮小について、「年内(の開始)が依然、適切だ」(アトランタ連銀のボスティック総裁)との指摘も出ている。金融市場では、今月のFOMCは緩和縮小に関する具体策の公表に踏み込まず、11月の会合に持ち越されるとの観測が強まっている。