安全保障最前線

「第2の文化大革命」は中国衰退の始まり? 芸能人、巨大IT企業、学習塾などを統制…中国に大きな混乱をもたらす兆候か

毛沢東の肖像画が掲げられた北京・天安門(共同)
毛沢東の肖像画が掲げられた北京・天安門(共同)

 習近平国家主席の独裁体制がますます強化され、中国に大きな混乱をもたらす兆候が出てきた。習氏は、尊敬する毛沢東主席に倣い、「第2の文化大革命」を行おうとしているのではないか。

 例えば、8月以降、中国の著名芸能人追放の動きが相次いでいる。ある俳優は、靖国神社で写真を撮ったという理由で、芸能界を追放となった。言論統制も厳しくなっている。8月27日に、インターネット規制を主管する「国家インターネット情報局(CAC)」が出した通達によると、ネット上で「中国経済衰退論を唱えたり、海外の中国経済論評を無批判に流布する行為」が取締りの対象となった。

 また、中国当局は昨年秋ごろから、アリババや騰訊控股(テンセント)などの巨大IT私企業に対する厳しい統制を始めた。昨年11月にアリババ傘下のアントグループが計画した株式公開を延期させた。今年7月には、配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)を国家安全保障上の審査対象にするなどの統制を強化した。

 さらに、中国当局は7月24日、「塾禁止令」を出し、学習塾や1000万人いる塾講師を事実上禁止とし、学習産業は壊滅的打撃を受けている。また、9月1日からは上海で小学生の英語の試験が禁じられる一方で、無粋な「習近平思想」が学校教育の必修科目となる。

 さらに、中国当局は8月17日、貧富の格差を是正するために「共同富裕」の実現を唱え、高所得者の「不法収入に対する取り締まり」と「不合理収入」に対する「整理・規制」を強調した。習政権は今後、富裕層を標的にして、「富める者から奪い、貧しい者を助ける」分配政策を進めていくだろう。

 新たなルールや規制が猛烈なペースで容赦なく導入され、●(=登におおざと)小平の改革開放の果実を台無しにし、中国の経済・技術におけるイノベーションや発展を阻害することになろう。

 米ジョージ・ワシントン大学のデイビッド・シャンボー教授は、その著書『中国の将来』の中で、もしも中国が「統制を緩和し開放度を高めると、国家としての安定性は高まる。反対に統制を強化し開放度を低くすると、国家としての安定性も低くなり、後退・萎縮・崩壊につながる」と記述している。

 つまり、習氏の「第2の文化大革命」の動きは、中国衰退の始まりではないだろうか。

 注目すべきは、習氏が最も頼りにする人民解放軍への影響だ。文化大革命により軍隊内の権力闘争が激しくなったり、経済が打撃を受ければ、軍にも大きな影響を及ぼすであろう。

 ■渡部悦和(わたなべ よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『自衛隊は中国人民解放軍に敗北する!?』(扶桑社新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)など。

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