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ため息は「限界」のサイン 暴走する交感神経にブレーキ 38~40度の入浴で「気滞」の解消を

千葉大学医学部附属病院和漢診療科・並木隆雄診療教授
千葉大学医学部附属病院和漢診療科・並木隆雄診療教授

 仕事などが行き詰まってストレスを強く感じたときに、無意識のうちに「フーッ」とため息をつくことはないだろうか。テレワークが増え、他人のため息を直接聞く、あるいは、同僚などに自分のため息を聞かれる機会は減った。だが、ため息は、身体の健康で重要な役割を果たしている。

 「ストレスで交感神経が過剰に働いたときに、限界を知らせるサインが『ため息』です。ため息を何度もつくようなときは、早めに心身を休めることが大切といえます」

 こう話すのは、千葉大学医学部附属病院和漢診療科の並木隆雄科長(診療教授)。西洋医学と東洋医学を融合した医療・研究を長年行っている。

 「東洋医学では、生命活動のエネルギーを『気(き)』と称します。気はほどよい量が全身を巡ることで健康に寄与します。過度なストレスは気を滞らせ、『気滞(きたい)』の状態になることで、心身に悪影響を及ぼすのです」

 「気滞」では、交感神経が過剰に働く(別項参照)。自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立ち、シーソーのようにバランスをとっているが、「気滞」では交感神経の働きが過剰になってしまうのだ。この状態が続けは、心拍上昇、血圧上昇、血管の収縮に伴う血流停滞など、身体に悪影響を及ぼすことになる。つまり、「気滞」は身体に危機的な状況へと導いてしまう。

 「気滞で心身が限界に到達すると、副交感神経から成る迷走神経が自然に高ぶり、無意識のうちにフーっとため息をつきます。ため息は生体にとっての息抜き。ため息も出ないほど、ひどい気滞になるとうつになります」

 「気滞」では交感神経が過剰な働きをするため、生体の防御反応として迷走神経が働くようになるのだ。迷走神経が働いて生じるのがため息。暴走する交感神経に、ちょっとブレーキをかけるような役割を担う。

 「職場で、ため息ばかりついている人がいたら、『今日は帰った方がいいよ』と声をかけていただきたいと思います」

 並木医師の和漢診療科には、昨年来のコロナ禍で、「気滞」の患者が増え得ているという。気滞に別の東洋医学的な症状が重なって、さらにつらい症状を抱えてしまう人もいる。

 「東洋医学の『気・血・水』という考え方では、気滞が、血や水にも悪影響を及ぼします。ストレスから逃れられないという方もいますが、あまり思いつめずに心身を少し休ませて、健康を取り戻しましょう」

 「気滞」の解消には、入浴が役立つという。38~40度のぬるめの湯に10分程度つかる。アロマなどの入浴剤も活用して週2回。心臓病などの持病を抱えている人は、事前に主治医に相談した上で入浴を。

 「ため息が出たら、ゆっくりお風呂に入ってリラックスしましょう」と並木医師は話す。 (安達純子)

■過剰な交感神経の働き

□心拍数や血圧が高くなり顔面が蒼白になる

□手足は冷たいのに手のひらにジンワリ汗をかく

□お腹が張ったような状態で、便秘がち

□食欲がない

□疲れていても夜の寝つきが悪い。夜中に目が覚める

□朝起きても疲れがとれない

※上記のようなことが重なったら、入浴などでリラックスを心掛けよう!

zakzak

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