HPVワクチンに女性も男性も注目せよ

副反応をめぐる今とこれから 厚生省が若い世代向けに啓蒙活動 ワクチン効果が実を結ぶためには、正しい知識の流布が欠かせない

HPVワクチンの正しい知識をまとめたリーフレット
HPVワクチンの正しい知識をまとめたリーフレット

 新型コロナ収束の切り札として、急ピッチで進むワクチン接種。一般的に感染症にかかると、その原因となるウイルスや細菌などに対する免疫を獲得することができる。するとその感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりする。ワクチン接種は、あえて体内に異物を投与して免疫反応を誘導するのだが、効果だけでなく副反応も生じるリスクもあるため、しばしば抵抗に遭ってきた。

 厚生労働省によると、コロナのワクチン接種が始まった今年2月17日から8月8日までに、「副反応の疑いがある」という報告された頻度はファイザー社ワクチンが0・02%(9065万1661回接種中2万0492例)、武田/モデルナ社ワクチンは0・01%(1226万1354回接種中1564例)。共に安全性に重大な懸念は認められないと評価されている。

 とはいえ、接種後の死亡例などネガティブなニュースは後を絶たない。岡山の企業が職域接種のためにワクチンを保管していた冷凍設備のブレーカーが落ち1600回分が廃棄になったという報道もあった。

 ワクチンと副反応との関連性を評価するのは非常に困難で多くの症例を分析する必要はあるが、変異株による感染が拡大する現状では打つメリットとデメリットを天秤(てんびん)にかけ、冷静に判断することが個人に委ねられている。

 ワクチンの副反応といえば、真っ先に思い出すのは「HPVワクチン」ではないだろうか。「HPV=ヒトパピローマウイルス」は、子宮頸(けい)がんの原因として知られている。

 世界保健機関(WHO)によると、2018年の子宮頸がんの新規患者は世界で推定57万人。毎年31万人を超える女性が死亡、有効な対策を施さないと、この数は40年までに46万人に増加すると予想している。日本では毎年、約1万1000人の女性が新規感染し、約2800人もの方が亡くなっている。

 子宮頸がん予防のために有効とされるHPVワクチンは、06年に欧米で誕生し、使用が開始された。その有効性・安全性は海外では広く示され、WHOが接種を推奨、現在100カ国以上で公的な予防接種が行われる。

 日本では10年4月から公費助成で12~16歳の女子が無料接種可能となり、全国的に7割程度の接種率が得られるまでになった。さらに13年4月からは厚労省により積極的接種勧奨が始まった。

 ところが、疼痛(とうつう)や運動障害などを含む多様な副反応の症例がマスコミで繰り返し報じられたこともあり、同年6月に厚労省が積極的勧奨を中止した。その影響で、世界で日本だけがHPVワクチンの接種率が一時は1%以下と際立って低くなった。

 最近、その状況に変化の兆しがある。

 厚労省の集計では、推定接種人数は昨年10~12月が特に多く、7万6000人となり、1カ月で約2万5000人に。19年度の4万6000人から20度は15万2000人と3倍に近く増えた。

 厚労省は、昨年7月からHPVワクチンについて新しいリーフレットを作成。イラストやデータを交え、若い子が接種について検討できる正しい情報がわかりやすくまとめられている。さらに、昨年10月と今年1月、対象者や保護者に対して個別に情報提供することを徹底するよう求める通知を出している。

 ワクチン効果が実を結ぶためには、正しい知識の流布が欠かせないのだ。(熊本美加)

zakzak

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