「河野-石破連合」を韓国“歓迎”の危うさ 「安倍路線」と遠ければよいと夢想…高市氏は「極右」論外の扱い 韓国メディアの捉え方は「あの河野洋平氏の息子だ」

青瓦台。韓国では、自民党総裁選で河野氏と石破氏の連携に期待している
青瓦台。韓国では、自民党総裁選で河野氏と石破氏の連携に期待している

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国が、日本の自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に強い関心を寄せている。岸田文雄前政調会長と、高市早苗前総務相、河野太郎行革担当相が激しく競い合っているが、誰が新総裁(日本の新首相)になるかで、日韓関係が激変するとみているからだ。韓国メディアの報道からは、保守派の高市氏を警戒する一方、慰安婦問題の「河野談話」(1993年)を発表した河野洋平元衆院議長を父に持つ河野氏に期待しているという。「親韓派」として評価される石破茂元幹事長が河野氏を支援し、「河野-石破連合」が始動すれば、隣国の期待値は最高潮に盛り上がりそうだ。ジャーナリストの室谷克実氏が最新情報を報告する。

 韓国メディアの報道を見れば、「期待される日本の新首相」は、(1)石破氏(2)河野氏(3)岸田氏の順だ。石破氏は出馬しない、いや出馬できずに、15日の石破派総会で「断念」を表明するという。それなのに韓国では、朝日新聞の世論調査などがピックアップ材料にされることで、ギリギリの段階まで「親韓派の石破氏」などと期待値ナンバーワンだった。

 韓国で「日本の次期首相は誰が良いか」といった世論調査が行われたわけではない。ただ、韓国メディアの筆致、個々の記事に対する反応(=ネットへの書き込みコメント)を見ているウオッチャーなら誰でも「石破氏-河野氏-岸田氏の順」と感じ取れただろう。

 では、高市氏は…。「論外の極右」として扱われている。

 韓国メディアは、今回の総裁選を「安倍晋三路線をつなぐか断つかの分岐点」(ハンギョレ9月6日)と捉えている。

 ハンギョレは、文政権にベッタリの左翼新聞だが、日本の政治状況に関する見方では、保守系紙も左翼紙もほとんど変わりはない(=日本への対応となると、まったく違ってくるが)。

 そのハンギョレ(同)に載った4候補への寸評(中見出し)は、こういうものだった。

 ▽岸田氏=自民党リベラルの嫡子、当選のため「安倍路線」近づく。

 ▽石破氏=安倍氏の最大のライバル、当選すれば韓日関係の劇的改善が期待。

 ▽河野氏=日本国内最高の「知韓派」だが、過去の対立で韓日対決を総指揮。

 ▽高市氏=代表的な極右の女性政治家、当選の可能性は相対的に低い。

 「政治家・安倍晋三」「安倍政権」は、韓国では「絶対の悪」と認識されている。韓国に「期待される日本の新首相」とは、安倍氏との距離が遠い順なのだ。それは韓国が夢想する「コントロールしやすい順」とも言える。

 だから、「女・安倍」(=高市氏に対する韓国紙『マネートゥデー』の表現)は「期待される」の範疇(はんちゅう)に入らないのだ。

 韓国メディアも次第に、「石破氏の出馬はない」との判断せざるを得なくなった。となれば、期待値ナンバーワンは河野氏だ。「石破氏が、河野氏に協力」なら、期待値は最高潮に盛り上がるだろう。

 河野氏は外相当時の2019年、南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使の、いわゆる「元徴用工」問題をめぐる発言を「無礼だ」と指弾したことがある。しかし、韓国メディアの捉え方は「あの河野洋平氏の息子だ」に尽きる。

 遠藤誉・中国問題グローバル研究所所長の論説によると、中国が河野氏に好意的なのは、「慰安婦問題に関する『河野談話』を否定していない」からだという。韓国の論調には、そうした「さかのぼった検証」は見られない。

 「息子は親に従うべきだ」という、韓国でも守られていない儒教道徳を、日本の政治家に期待している滑稽さ。日ごろは日本のことを「儒教の精神がない野蛮な国」と言っているのに、何とも不思議な感覚だ。

 河野氏がかつて、韓国人を秘書として雇っていたことも「知韓派」の証明の1つだ。

 韓国人は、韓国の政治文化を絶対的な基礎として他国の政治を見る。韓国は何事もトップダウンの政治文化だから、首脳会談にこだわる。そして、日本の政治のトップさえ「安倍氏と距離がある人物」に代われば、日韓関係は劇的に変わると思い込んでいる。

 「嫌韓」が日本の「ノーマル」になっている現実に、韓国メディアはまだ気付いていない。(室谷克実)

zakzak

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