習近平氏が進める「現代の文革」 共産主義に先祖返りする中国、日本企業も標的か 石平氏「習体制は毛沢東を超えようとしている」

中国共産党歴史展覧館の大型画面に映された党総書記の習近平国家主席=6月、北京(共同)
中国共産党歴史展覧館の大型画面に映された党総書記の習近平国家主席=6月、北京(共同)

 中国の習近平政権の暴走がエスカレートしている。「共同富裕」というスローガンを掲げて大企業などに巨額の拠出を強要し、子供たちにも「習近平思想」を学ばせるなど個人崇拝の様相だ。初代国家主席、毛沢東の「文化大革命(文革)」の再来との見方もある。

 「共同富裕」は、貧富の格差是正や所得の再分配を目的としたもので、習主席が8月の演説で強調し、共産党中央財経委員会も「高すぎる収入を合理的に調節する」と表明している。

 所得の再分配は税金や社会保障を通じて行うのが通常だが、「共同富裕」では大企業や経営幹部に直接、寄付や社会支援などの巨額の資金を供出させるというのが大きな違いだ。

 これに恭順の意を示したのが電子商取引(EC)最大手アリババグループで、「共同富裕」促進事業に1000億元(約1兆7000億円)を2025年までに拠出すると明らかにした。

 同社の本社がある浙江省杭州市トップは「重大な規律違反と違法行為」の疑いで当局の調査を受けており、4月には同社が独占禁止法違反で182億2800万元(約3050億円)の罰金も科されるなどすでに締め付けられている。

 IT大手の騰訊控股(テンセント)は公表済みの社会支援事業への拠出金500億元(約8500億円)に同額を上積みすると発表した。

 出前サービス大手、美団の最高経営責任者(CEO)や動画アプリを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の創業者も巨額の寄付を行う。

 習指導部の狙いについて、評論家の石平氏は「企業側はお金を拠出しなければ潰されるため、『習近平から命を買う』といわれている。国内の治安維持や軍事的覇権拡大によって中央政府は常に財政難という背景があるなかで、共産党の伝統的な搾取方法ともいえるが、中国企業から搾取できなくなれば、現地の日本企業に矛先が向かうため、いち早く脱出した方が身のためだ」と話す。

 改革開放路線以来、資本主義経済を取り入れて急成長した中国だが、共産主義に先祖返りしつつあるようだ。

 教育の現場では、小学校から大学院までの教材に習思想が全面的に盛り込まれた。小学校では、「幼少の心に愛党・愛国、社会主義を愛する種を埋め込む」ことを重視し、高校や大学、大学院では理論などを学ぶ。哲学社会科学系の教材では、習氏の演説の原文を取り上げ、法学や経済学、理工学系でも習思想が登場する徹底ぶりだ。

 習政権のこうした動きは「現代の文革」と警戒されている。1966年に始まった文革では、資本主義を否定、毛沢東思想が崇拝されて多くの人が弾圧された。約10年間の死者は公式に40万人、2000万人を超えるという説もある。

 今後の中国はどうなるのか。前出の石平氏は「中国は文革時代に戻ったといえる。毛沢東を完全に超えようとしている習体制の肥大化は誰も止めることができず、長期化が予想される」と指摘した。

zakzak

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