【定年後の居場所】人生を充実させる学びの場 大学院、高齢者大学、公民館…新たな自分を発見でき、孤立も回避 - イザ!

メインコンテンツ

定年後の居場所

人生を充実させる学びの場 大学院、高齢者大学、公民館…新たな自分を発見でき、孤立も回避

 中央公論9月号に関西学院大学の櫻田大造教授と私との対談記事が掲載された。タイトルは「大学生き残りのカギを握る『定年後の学び』の波」。対談は相手の異なる視点からも物事を見ることができるので、いつも触発される。今回は大学人からの見識ある意見を聞くことができた。

 定年後になると、現役の時に比べて時間的な余裕が生まれる。自己実現や自分の楽しみのため、どのように時間を使うのかという観点から学びにも焦点が当たるのだろう。定年後における学びの大切さについては2人の認識は完全に一致していた。

 学びの内容については、櫻田教授は大学や大学院を勧めている。一方で、私は、どちらかと言えば高齢者大学やカルチャーセンター、公民館での会員相互の手作りの研究会など幅広い選択肢が大切だと考えている。これは2人の立場の違いがあるのだろう。

 櫻田教授は大学には単位取得という明確な目標があって、ある程度の強制力をもって勉強する環境が整っている。かつ自分で問題を発見して、解決する能力が身につくからだという。たしかに本格的に学ぶには大学や大学院が最適であろう。

 彼の著書では、定年退職後に大学に科目等履修生として登録し、修士、博士と進学した向上心ある元会社員を紹介していた。やる気のあるシニアの院生が来てくれたら周りにとっても非常にいい刺激になるそうだ。私の知人の地方公務員は50代から大学院に通い、定年後に博士号を取得して大学教授になった。学びを通して自らのキャリアを作り出す人もいる。

 一方で、私はコロナ禍の前に高齢者大学で話す機会をいただいたことがある。入学式直後の講演だったが、多くの元気なシニアの姿に圧倒された。地下鉄の駅を降りてから会場へ行くまでの道すがら、「どこへ旅行したんですか?」「イタリアです。あなたはどこへ?」「いや、腰が痛くて、最近はあきませんわ」などの会話が飛び交っていた。互いにコミュニケーションを楽しんでいる様子が印象的だった。櫻田教授によると阪神間にも高齢者大学があって、いろいろな大学の先生が出講していて同窓会やオープンキャンパスもあるそうだ。

 私は取材していた時に、学びは定年後の人たちにフィット感があると何度も感じた。その理由は2つある。一つは、学びを通して今まで気づかなかった自分を発見することができるからだ。「ああ俺はこんなことが好きだったんだ」「今までよりも関心の幅が広がった」と新たに人生を見つめ直す機会になった人たちがいる。

 もう一つは、学ぶ姿勢はコミュニケーションを促進する作用があるからだ。先ほどの道すがらの会話もそうであるが、学びを通して人と人とが結びつきやすい。学びは年齢が高くなっても続けることができるので、定年後に孤立するというリスクに対しても有効である。そういう意味では、大学・大学院、高齢者大学やカルチャーセンターなどの多様な学びの場が充実して選択肢の幅が広がることを望んでいる。

 ■楠木新(くすのき・あらた) 1979年、京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。50歳から勤務と並行して取材、執筆に取り組む。2015年3月、定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。人事・キャリアコンサルタント。25万部を超えるベストセラーになった『定年後』(中公新書)など著書多数。21年5月に『定年後の居場所』(朝日新書)を出版。

zakzak

  1. ウイグル人元収容女性、性的暴行や虐待の実態を証言
  2. 「辻元、辞めろコール」殺到に立民完全スルー! 「寄付した側のミス」投稿を拡散
  3. 西武・松坂の最後の登板は四球 降板すると日本ハムベンチ前で深々と頭下げる
  4. 内田理央のおっぱい写真にファン大興奮「一瞬ビビった」「萌え死んだ」
  5. 斎藤佑樹に投げ勝った男、西武・東野葵が自主退団