するりベント酒

これで仕事場晩酌だ! 王者・崎陽軒の「立ってよし寝てよし」の“総合格闘技”弁当

(久住昌之氏提供)
(久住昌之氏提供)

 晩酌、というものをしない。これまでずっとしなかった。そのことはいろんなところに書いた。理由は、仕事を深夜までやるからで、夕飯時に酒を飲んだらそれ以降、仕事ができなくなるからだ。

 酒は、全部仕事が終わってから。

 昼飲みは、旅先と、飲むこと自体が仕事な時と、完全に休みの日だけ。ただしボクは一年を通して、完全な休みの日は、ほとんど無い。そして、完全に休みでも、何もせず朝から酒を飲むなんてのは、全然楽しくない。遊びでも散歩でも、なんでもいい。ひとつ何かしてから、飲むのがうまい。

 酒に対してそういう性格なんだろう。

 ところが。

 コロナになって2年目。

 最近、晩酌、のようなことをたまにするようになった。なぜか。

 緊急事態で店が早く閉まるので、深夜飲みができなくなり、早起きになったからだ。

 早起きすると朝ごはんを食べて、午前中から仕事をする。昼は食べないで、一生懸命原稿を書いたり、絵を描いたりする。

 そうすると夕方、猛烈に腹が減る。そして夜7時ともなれば、からだも疲れてきて、集中力も落ちてくる。そりゃそうだ、8時間ぐらいぶっ続けで机に向かっている。

 そこへ来て、店は8時で終わる。飲食店の応援だ!と近くの焼き鳥屋に親子丼を食べに行く。

 ここの親子丼がうまい。しかもこの夏からうな丼まで始めた。炭火で焼くうな丼はうまい。ところがうな丼は時間がかかる。待つ間、ビール一本。つまみ一品。このビールが仕事で疲れた心身に、最高!おいしくてゴクゴク飲んで、うな丼が出てくる前に、飲み切ってしまう。間がもたない。じゃあ、なんだ、冷酒でも一杯…うな丼が来る。酒をちびちびやりながら、うな丼。

 これ、どこからどう見ても晩酌の図だ。

 こうなると仕事場に戻っても、もう仕事はできない。仕方なく家に帰って、ちょっと飲む。結局、いつもより早寝する。と、翌日、早く目が覚める・・・。

 いい循環ではないか。と、思うがそううまくはいかない。毎晩はできない晩酌。

 だが晩酌も俺の中で「アリ」になった。

 ある晩は、飲み屋が店が空いてるうちには終わらなかった。それで、駅前で買ってきた、シウマイの崎陽軒の「しょうが焼弁当」。初めて見た。これで仕事場晩酌だ。

 豚の生姜焼きが、薄くて大きいのが四枚。これがまさにごはんに合う、ごはんがぐいぐい進む味。さすが。四枚というのがエライ。弁当の最後まで、もったいぶらずに食べていける。そして玉ねぎ炒めが別に添えてあるのもスバラシイ。安易に千切りキャベツとかでなく、ね。竹の子と高菜と挽肉炒めというのがピリ辛で鋭いところを突いてる。そこに真面目なポテトサラダ(雑なポテサラむかつく)。紅生姜と漬物。全部うまい。大胆かつ繊細。この弁当、隙がない。打撃も関節技も凄腕、立ってよし寝てよしの総合格闘技選手だ。

 本当に崎陽軒の弁当はどれも、腰を据えてじっくり考え、試行錯誤の上に完成した一箱に思える。かっこつけてない。質実剛健。頭が下がる。残った弁当をおかずに、ウイスキー水割りに移行。崎陽軒、晩酌から見ても、盤石。

 ■久住昌之(くすみ・まさゆき) 1958年7月15日、東京都生まれ。法政大学社会学部卒。81年、泉晴紀との“泉昌之“名でマンガ家デビュー。実弟の久住卓也とのユニット“Q.B.B.”の99年「中学生日記」で第45回文藝春秋漫画賞受賞。原作を手がけた「孤独のグルメ」(画・谷口ジロー)は松重豊主演で今年シーズン9(テレビ東京)。

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