【定年後の居場所】シニアの経験生かす「スポットコンサルティング」 高いスキルなくても活躍の場はある - イザ!

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定年後の居場所

シニアの経験生かす「スポットコンサルティング」 高いスキルなくても活躍の場はある

 先日の東京新聞の記事で、「『70歳現役』をかなえるには、、、、」という見出しで、在職時の経験や人脈を生かして、対面やオンラインで経営や事業の相談に短時間で応じる「スポットコンサルティング」について紹介されていた。

 日立製作所に入社後、主に半導体分野で国内外の企業を渡り歩き、海外にも勤務の経験がある60代後半の男性が紹介されていた。彼は大手半導体メーカーの技術顧問を63歳で退いて、アドバイザー登録をしたそうだ。半導体やエレクトロニクスをテーマに、企業の相談に応じている。月平均3件の依頼を受けて、報酬は1時間4~5万円になるという。彼はいろいろな業界の仕事を受けるので「多様な見方ができるようになった」と語る。「スポットコンサルティング」を媒介する会社によると、登録者は国内外で約15万人に上り、60歳以上はそのうち20%を占めるという。

 実際に、スポットコンサルティングの会社に登録している中高年に私も話を聞いたことがある。依頼する側は自らの会社にだけに通用する技能を求めていることが多いのでマッチングは必ずしも容易でないという意見もあった。しかし日本の現状では、シニアが自分の経験を生かせる市場が充実していないので、このような「スポットコンサルティング」の仕組みは選択肢を広げるためにも有効である。

 最近は、会社で培った経験を生かしてフリーランスで仕事を始めるシニアがマスコミにもよく取り上げられている。私の取材例でも、海外現地法人を立ち上げた実績や経験を活用して、海外進出する中小企業に対してアドバイスするとか、ITの技術者がウェブ開発の仕事をネット上で受注するとか、エンジニアの経験を生かして中小企業の技術顧問やコンサルタントを務める人などがいた。

 以前私が入居していたレンタルオフィスでも同様な仕事に取り組んでいる元会社員も少なくなかった。会社で培った専門的な知識や経験を定年後も長く生かしたければ40代か50代くらいから意識して取り組む必要があるだろう。

 実は、この新聞記事では私のコメントも紹介されている。私は新たな活躍の場を見つけるのに、必ずしも高いスキルや資格は必要ではないと述べている。例えば、企業の経理部で働いている人が、ボランティアで介護施設の経理のお手伝いをしている人に取材したことがある。彼は施設から「こちらで働いてくれないか」と声をかけられた。その施設では介護の専門家はいるが経理をうまく回せる人がいないのでとても重宝されているからだ。

 現在の勤め先の方が給与は高いのでそのまま働くが、定年後はその介護施設で働くつもりだと彼は話していた。たとえ高い専門性を持っていなくても、自分をどこに持っていけば「売れるか」(相手に喜んでもらえるか)といった商売センスが大切である。そうすれば新たな次の扉が開くこともある。相手ファーストの姿勢で動き回ることが自分の価値を高めることにつながるのである。

 ■楠木新(くすのき・あらた) 1979年、京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。50歳から勤務と並行して取材、執筆に取り組む。2015年3月、定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。人事・キャリアコンサルタント。25万部を超えるベストセラーになった『定年後』(中公新書)など著書多数。21年5月に『定年後の居場所』(朝日新書)を出版。

zakzak

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