通崎好みつれづれ

長い髪の少年

産経ニュース
「ヘアドネーション」に取り組む近藤煌馬君。スピーチコンテストで優秀賞を獲得した
「ヘアドネーション」に取り組む近藤煌馬君。スピーチコンテストで優秀賞を獲得した

今回は、年の離れた私のお友達を紹介したい。横浜市に住む小学6年の近藤煌馬(こんどう・こうま)君(11)だ。

煌馬君と知り合って7年になる。以前、横浜の保育園でコンサートをするにあたり下見に行った際、園はちょうどその日5歳を迎える彼の誕生日をお祝いする時間だった。私は、煌馬君を後ろから抱えてバチを持たせ、保育園の木琴でハッピーバースデーの曲を演奏、みんなの大合唱となった。それがきっかけで、お手紙をくれたり、銀座でコンサートがあれば、浴衣を着て聴きに来てくれたりと「交際」が始まった。

コロナ禍中2度目の夏、どうしているかなと連絡をしてみたところ、彼は「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」本選に、港北区代表として出場したという。

テーマは、自ら挑戦中の「ヘアドネーション」。病気やけがで髪を失った人にウイッグを作るため、自身の髪を寄付する活動である。

煌馬君は4年生の時、パラリンピックの選手による授業を受けたことがきっかけで、障害のある人の役に立ちたいと考えるようになった。そこで、母親が行ったこの活動に自身も挑戦することにした。

寄付するためには原則31センチの髪が必要だ。男の子なのに髪を伸ばしていることで、からかわれたり、好奇の目で見られたりして戸惑うこともあったが、今はもう慣れた。私から見れば、ジェンダーフリーのお手本が歩いているようで、とてもすてきだ。スピーチは、この活動を多くの人に知ってもらい、世界中の子供たちが差別や偏見をされず毎日を楽しく笑顔で過ごせるようになったらいいなと思う、と締めくくられる。

お休みの日には、山梨の牧場へ出向き、自ら馬を走らせながら、倒立などのアクロバット演技をするトリックライディングを練習。体験に来られた障害者の方々のサポートに回ることもあるそうだ。最近は、ハンドボールにも夢中だという。

自分が決めたことをやり通す。すっかり頼もしい少年になった煌馬くんの今後の成長が楽しみである。(通崎睦美 木琴奏者)

つうざき・むつみ 昭和42年、京都市生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。マリンバとさまざまな楽器、オーケストラとの共演など多様な形態で演奏活動を行う一方、米国でも活躍した木琴奏者、平岡養一との縁をきっかけに木琴の復権に力を注いでいる。執筆活動も手掛け、『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』で第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)と第24回吉田秀和賞をダブル受賞。アンティーク着物コレクターとしても知られる。

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