世界で最も稼ぐ女性アスリート、大坂なおみ選手にスポンサーが苦悩する事情 - イザ!

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世界で最も稼ぐ女性アスリート、大坂なおみ選手にスポンサーが苦悩する事情

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 大坂選手の会見にスポンサーは……
大坂選手の会見にスポンサーは……

女子テニスの大坂なおみ選手が、米ニューヨークで行われている全米オープンで、あっさりと3回戦で敗退した。期待の注目選手が格下選手にトーナメントで敗れたことに失望が広がったが、試合後に彼女が開いた記者会見がまた大きな話題になった。

総合テニス専門サイト『テニス365』によると、大坂選手は「基本的には、自分が何をしたいのかを考えている段階で、次のテニスの試合がいつになるのか、正直言ってわからないという感じ。ごめんなさい。しばらく試合は休もうと思っている」と語ったのである。

もちろんトップアスリートが、先頭を走り続けるのは並大抵のことではないだろう。ただ大きなビジネスが絡むプロのアスリートであることを考えれば、スポンサーなどは複雑な思いで見ているに違いない。

一方、日本人が大注目している米メジャーリーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。メジャーリーグの歴史を振り返っても、投打の二刀流は非常に少ない。希少性があるだけでなく、気持ちいいほど活躍しているので、筆者もホームランや登板の様子はニュースでチェックしている。

大坂選手も大谷選手も、日本人から見れば海外で大活躍するアスリートであることには変わりない。ただ現実を言えば、この両者の注目度は世界では比較にならないほど差がある。

収入の差も明らか

というのも、野球というスポーツは、基本的に北米や東アジアを中心に人気があるが、それ以外の地域ではそれほどでもない。イチローさんも現役のときには、よく「世界のイチロー」と言われ、筆者を含めた日本人の多くがその活躍に注目していた。しかし欧州などに行けば、彼の名はほとんど知られていない。

その点、大坂選手の注目度は格段に高い。その差は収入を見ると明らかである。より多くの人を引きつけることができる選手は、それだけ金を生み、より多くの収入を得ていると考えていい。

そこで世界のアスリートたちがビジネス的にどれほどの収入を獲得しているのか、最新の世界ランキングを見ていきたい。そこから2021年のいま、世界的にスポーツやアスリートが生み出すビジネス規模の実態を感覚として理解できる。

高収入のアスリートは稼ぎのほとんどが……

米フォーブス誌などの情報から、21年版 世界のアスリート高収入トップ50(5月までの推定収入)を見ると、驚きの連続である。ほとんどのアスリートがスポーツそのものの収入以上に、スポンサーなど外部からの稼ぎが圧倒的に多いことが分かる。

例えば、大坂なおみ選手の年間の稼ぎは世界12位で、女性アスリートとしては世界で最も稼いでいる。金額は約6000万ドル(約65億円)にもなるが、テニス大会などから得ている稼ぎはそのうちの8.3%に過ぎないと見られている。

ちなみにトップ50の中にランクインしている女性は大坂選手と、同じくテニス選手で4150万ドルを稼ぎ出しているセリーナ・ウィリアムズ選手だ。彼女の収入に賞金が占める割合はたった3.6%である。

一方で、エンゼルスの大谷選手の年俸は、20年に300万ドル(約3.2億円)。大坂選手と比べても、ケタ違いに低いのである。

2020年に世界で最も稼いだアスリートは

実は、驚くなかれ、世界のアスリート収入ランキングのトップ50のなかに、メジャーリーグの選手は一人もランクインしていない。

では、20年に世界で最も稼いだアスリートは誰なのか。アイルランドの男性総合格闘家、コナー・マクレガー選手で、1億8000万ドル(約192億円)となっている。そのうちの88%ほどは、賞金以外のスポンサー契約などから稼いでいる。だからなのか、最近も米メディアで派手に散財していると報じられていた。

2位は、スペインのFCバルセロナからフランスのパリ・サンジェルマンFCに電撃移籍したリオネル・メッシ選手。1億3000万ドルも稼いでいる。彼の場合、収入の25%は年俸から獲得している。

50位までのランキングを見ると、メッシ選手以外に、サッカー選手では3位にクリスティアーノ・ロナウド選手、6位にネイマール選手、31位にキリアン・エムバペ選手、36位にモハメド・サラー選手。48位には、ビュッセル神戸のアンドレス・イニエスタ選手が入っている。

サッカー以外で多いのは、米国で人気のアメリカンフットボールとバスケットボールだ。NFL(米プロフットボール・リーグ)のアメフト選手では、ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット選手の1億750万ドルを筆頭に、18選手がランクインしている。アメフト選手の多くは、スポンサーなどからの収入よりも、チームからの年俸が高い。ほとんどはチームの年俸が収入の大部分になっている。

トップ50のアスリートの収入を合算すると

またバスケットボール選手も高収入で、NBA(米プロバスケットボール協会)の選手が13人もランクインしている。トップはロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ選手で、年収は9650万ドル。そのうち67.4%はチームからの年俸、残りはスポンサーなどからの収入である。

さらにランキングでは、F1ドライバー(ルイス・ハミルトン選手、マックス・フェルスタッペン選手)や、ゴルフ選手(タイガー・ウッズ選手、フィル・ミケルソン選手)、プロボクサー(サウル・アルバレス選手)が入っている。

50人すべてのアスリートの収入を足すと、280億ドル(約3兆円)ほどになる。また50人の平均年齢は31歳。スポーツ業界ではとんでもない金が動いているし、日本の大手企業を見ても、世界各地で活躍しているアスリートにスポンサーとして投資している。アスリートはスポンサードしやすい対象ということだろう。

ただアスリートはいつ負傷するかもしれないし、コンディションなどの要素によって一気に人気やスポンサーを失う可能性がある。約6000万ドルの年収のうち、90%以上がスポンサーなどプレー以外からの収入になっている大坂なおみ選手も、全仏オープンでのメディア会見拒否や今回の観客に向かってボールを打ち込む姿などを見るにつけ、一気にすべてを失いかねない危うさがある。

企業にとっても、SNSの普及などによってスポーツ選手がアピールできる時代には、エンドースメント(スポンサー料を支払い企業の商品を使用する契約)などはある意味で不安定な部分もある。人種差別的な言葉などがポロッと出てしまうようなことがあれば、一瞬でスポンサーが去りかねない。

「ビジネスだから」と割り切れない難しさ

今回のランキングで興味深いのが、テニスのロジャー・フェデラー選手だ。年収は約9000万ドルだが、そのうちトーナメントなどの賞金からの収入はわずか0.03%。ほぼすべて、プレー以外のところで稼いでいることになる。そうなるともはやアスリートなのかタレントなのかが分からなくなってしまいそうで、スポンサーのためだけにプレーを続けている感じすら受けてしまう。

大坂なおみ選手のように、テニスやゴルフをプレーする個人スポーツで所属チームがないアスリートは、すべての責任を自分で抱えなければならない現実がある。もっとも、だからこそ、その看板一つで、多額なスポンサー料などを受け取り、所属チームなどの制約のない中でエンドースメントも受けやすい。

だがその一方で、一人で戦う孤独感や責任感は、もしかしたらいわゆる「真面目」な選手ほど強いのかもしれない。全豪オープンで顔にとまった蝶を穏やかに助ける優しさも、一人でプレッシャーを一身に背負う選手のイメージとはギャップがあると思うのは筆者だけだろうか。

しかし、スポンサー企業からすれば、その不安定さには心配を抱かざるを得ないだろう。特にプレー中に悪態をつくのは、スポンサーのイメージにも影響を及ぼしかねないからだ。

大坂なおみ選手の一連の騒動は、多額が動くスポーツ業界の暗部を浮き彫りにしたような気がしてならない。「ビジネスだから」と割り切れないアスリートたちへの投資の難しさがそこにはあるのだろう。

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