【日本復喝】伊豆の老舗旅館も中国の標的 「ポスト・コロナ」見据え買収が活発化、日本は金融機関の貸し渋りで買い手がつかず - イザ!

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伊豆の老舗旅館も中国の標的 「ポスト・コロナ」見据え買収が活発化、日本は金融機関の貸し渋りで買い手がつかず

■■掲載えとき■■ 伊豆にある温泉郷(写真は本文とは関係ありません) ■■キャプション■■伊豆のとある温泉郷jpg
■■掲載えとき■■ 伊豆にある温泉郷(写真は本文とは関係ありません) ■■キャプション■■伊豆のとある温泉郷jpg

 静岡県・伊豆半島にある純和風の老舗旅館や由緒あるホテルで、中国資本による買収が進んでいる。富士山をはじめ、東京にも近い立地から、中国人観光客にも人気なのだという。

 筆者の手元にあるだけで、20のホテルや旅館が中国系資本に買収された。コロナ禍でさすがに閑散としているのだろう。ワクチン接種を終えたうえで、8月中旬、実態を確かめるべく現地を歩いてみた。

 この温泉郷に、初めて中国系資本がやってきたのは5年も前だ。現在、その動きがより加速する気配を見せている。今でこそ、コロナ禍で中国をはじめとする外国からの客足は止まっているが、「ポスト・コロナ」を見据えた買収を探る動きが活発化しているというのだ。

 コロナ禍前は、中国資本による買収で、中国からの観光客でにぎわい、日本人経営者時代に傾いた経営を立て直したのも事実である。

 ただ、中国系資本はいくら民間といっても、中国共産党の指導下にある。長い目でみて、安全保障上の危険をはじめ、日本の伝統的な温泉文化を守っていけるかどうかなどについての疑念は拭えない。

 地元では、安保上の理由もそうだが、何よりも、外国資本が投機目的で不動産を転がすような感覚で乗り込んできたことを懸念していた。歩いた先で聞いたり、帰京してから電話で話をうかがうと、旅館やホテルの経営者、従業員の中には、「情緒あふれる豊かな景観や街の雰囲気など、守れる文化も守れなくなる」などと不安を口にする人が少なくなかった。

 6月下旬、都内に事務所を構える「ホテル旅館経営研究所」代表取締役所長、辻右資(つじ・ゆうじ)氏を訪ねた。

 辻氏によると、コロナ感染の拡大が顕著だった昨年夏ごろ、月に約100件だった売り出し物件への問い合わせが、月300件と3倍に増えてきているという。

 コロナ前には月600~800件の問い合わせがあったというから、全盛期の半分以下だが、「ポスト・コロナ」を見据えた動きが活発化しているのだという。数部屋、あるいは十部屋前後の趣のある老舗旅館が人気らしい。

 辻氏は「平成元(1989)年のバブル期のころに、7割近くの2世経営者が親から旅館を引き継いだが、令和(2019年~)になって古希、傘寿を迎え、『そろそろ引退したい』と考えても後継者がいない。仕方なく、だれかに譲ろうと思っても、日本人の場合は金融機関の貸し渋りなど融資の壁があり、なかなか買い手がつかない」のだという。

 日本人経営者も好き好んで中国系資本に売っているわけではないが、生活していくためには仕方のない決断なのだ。

 辻氏は「旅館やホテルを経営したいという日本人に売却し、老舗旅館の持つ風情などを残してほしいが、それには金融機関に融資のあり方を見直す必要がある」と語る。

 香港で20年間、金融ビジネスに携わった日本人の会社社長は「旅館のオーナーが経営に行き詰まって旅館を丸ごと3億円で売りに出した場合、日本の業者が3億円弱で交渉に入るとき、中国系企業が5億円で買うと言ってくる。5億円で売るのは当然でしょう。この根本的な問題を解決する法律が必要だ」と話す。

 手をこまねいていたら、経済活動を理由に、伊豆の温泉街も見える景色が変わっていきそうだ。

 ■佐々木類(ささき・るい)

 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)=写真=など。

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