「タリバンは変わらない」 露在住アフガン人、希望と平和の喪失嘆く

産経ニュース

米軍撤収が完了したアフガニスタンでは、実権を握ったイスラム原理主義勢力タリバンが女性の人権尊重や民族融和をうたうが、国際社会は懐疑的だ。ロシアのモスクワに住むアフガン人、ナシルさん(47)も「新しいタリバンなどありえない」と指摘。米国の庇護(ひご)の下でアフガンに育ちつつあった希望や平和の芽が再び摘み取られることを危惧している。

「私の兄の息子はアフガンで米軍の通訳として働いてきた。兄は息子を米国に逃れさせようとしたが、タリバンは外国人にしか空港に行くのを許さず、現時点でうまくいっていない」。ナシルさんはそう話し、不安げな表情を浮かべた。

ナシルさんは内戦などで親を失ったアフガンの子供に共産主義を学ばせる旧ソ連のプログラムに基づき、1984年にソ連に入国。医療助手や通訳などとして働いてきた。一方、アフガンでは内戦が続き、96年にタリバンが実権を掌握。イスラム法に基づく苛烈な統治を敷いた。ナシルさんはアフガンに住む親族らからタリバンの統治手法を聞き、反感を抱いてきた。

旧タリバン政権は2001年の米国の攻撃で崩壊し、アフガンでは米国の支援などで民主政権が成立した。しかし米軍撤収を背景にタリバンは攻勢を強め、今年8月には首都カブールを制圧。民主政権は崩壊した。「タリバンの復権は起きうる限りで最悪だ」と話す。

ナシルさんは民主政権時代は一時帰国することもあった。しかし現在、帰国の考えはない。タリバンの言葉を全く信じていないためだ。「タリバンは中世のイスラム法に従って生き、それに反することはしない。新しいタリバンなどありえない」と断言する。実際、娯楽を禁じるタリバンはコメディアンや民族音楽の歌手を殺害している。

ナシルさんは「民主政権時代に育った子供には希望があった。米軍は一定の平和をもたらしてくれた。それが失われて残念だ」と唇をかむ。現在の願いは、アフガンがいつの日か(政教分離の)世俗主義国家となることだという。

(モスクワ 小野田雄一)

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